本書は、阪長氏の考えがわかりやすくまとめてられている。
第1章 育成システム編
第2章 守備編
第3章 打撃編
第4章 投手編
第5章 指導編
第6章 実践編
から成る本書は、ドミニカ共和国と日本の育成システムの違い、子ども達に対する接し方の違いから、攻守にわたる具体的な技術論、さらには子供への接し方、日本の少年野球の現場への導入の方法論までが、具体的に解説されている。
日本の学生野球では、合理的な技術論ではなく、「学生野球かくあるべし」という精神論が野球の現場ではまかりとおっている。また指導者への絶対服従が、いまだに根強く生きている。
しかし、「野球離れ」が進む昨今、多くの子供たちを「野球好き」にさせるためには、旧来の精神論ではなく、より合理的で子供の成長に合わせた、新しい指導理論が求められている。指導者ではなく、子供のことを第一に考えた野球指導が必要だ。
本書は、そうした新しい時代の画期的な「野球指導論」といえるだろう。
野球指導者はもちろんのこと、子どもに野球をさせたいと考えている保護者にとっても必読の一冊だ。
阪長氏はドミニカ共和国への野球視察ツアーを実施し、野球指導者や医療関係者などにドミニカ共和国の野球の現場を紹介している。ドミニカ共和国の野球をつぶさに見た関係者は、一様に日本との違いに驚いている。
本書は居ながらにして、ドミニカ共和国の野球の素晴らしさに触れることができる。しっかり読み込めば、パラダイムシフトを起こすことも可能な一冊だともいえるだろう。(広尾晃)
(取材・写真:広尾晃)