しかし、21世紀に入ってから、こうした状況は少しずつ変化した。
まず、プロ野球中継の視聴率が急落した。1990年代まで20%はあった巨人戦の視聴率は2006年には10%を切り、以後も低落傾向が続いた。視聴率が取れなくなると、プロ野球中継自体が減少していく。21世紀の初頭には巨人戦は全試合地上波で中継されていたが、2010年には27試合になり、2017年は12試合にまで減少した(関東地区)。
その一方で、BS、CSなどでの野球中継のコンテンツは増えていったが、子どもたちの多くが日常的に視聴する地上波での野球中継は激減した。
一方で、サッカーが人気スポーツとして台頭してくる。Jリーグが1993年にスタート、1998年には日本代表が初めてワールドカップに出場、同時にサッカー界は地域での普及活動を強力に推進した。最初に触れたように、未就学児、小学校低学年の子供を指導するキッズリーダーも設けて、子どもたちを「サッカー好き」にする取り組みを展開したのだ。
そういう状況が進展した結果、未就学児、小学校低学年の子供の間では「サッカー」のほうが「野球」よりも親しみがあるスポーツになっている。
今、小学生の野球競技人口が減少しているのは、こうした背景があるのだ。
昔は、子どもに野球を教えなくてもみんな知っていた。お父さんに手ほどきを受けて、野球の真似事はみんなできたし、ルールも知っていた。
しかし今の子供はテレビで野球を見ないし、近所でも誰も野球をしていない。そのうえ、サッカーの方が人気があるから、野球を知らない子が圧倒的に多くなったのだ。
これまで野球は、圧倒的なすそ野の広さを誇っていた。しかし気が付けばそのすそ野がほとんどなくなってしまったのだ。
「これからはユニフォームを着て、グローブをもってやってくる子供を対象とした野球教室なんてしなくていい。野球のことなんか知らない幼稚園、保育所の子供に、野球ごっこを教えることを集中的にやるべきだ」とまでいう人もいる。
宮本慎也コーチがプロ野球選手会に「幼稚園や保育所をまわってほしい」というのも、そういう事情に危機感を抱いたからなのだ。
今の野球界は、こういう状況にある。
まず、プロ野球中継の視聴率が急落した。1990年代まで20%はあった巨人戦の視聴率は2006年には10%を切り、以後も低落傾向が続いた。視聴率が取れなくなると、プロ野球中継自体が減少していく。21世紀の初頭には巨人戦は全試合地上波で中継されていたが、2010年には27試合になり、2017年は12試合にまで減少した(関東地区)。
その一方で、BS、CSなどでの野球中継のコンテンツは増えていったが、子どもたちの多くが日常的に視聴する地上波での野球中継は激減した。
一方で、サッカーが人気スポーツとして台頭してくる。Jリーグが1993年にスタート、1998年には日本代表が初めてワールドカップに出場、同時にサッカー界は地域での普及活動を強力に推進した。最初に触れたように、未就学児、小学校低学年の子供を指導するキッズリーダーも設けて、子どもたちを「サッカー好き」にする取り組みを展開したのだ。
そういう状況が進展した結果、未就学児、小学校低学年の子供の間では「サッカー」のほうが「野球」よりも親しみがあるスポーツになっている。
今、小学生の野球競技人口が減少しているのは、こうした背景があるのだ。
昔は、子どもに野球を教えなくてもみんな知っていた。お父さんに手ほどきを受けて、野球の真似事はみんなできたし、ルールも知っていた。
しかし今の子供はテレビで野球を見ないし、近所でも誰も野球をしていない。そのうえ、サッカーの方が人気があるから、野球を知らない子が圧倒的に多くなったのだ。
これまで野球は、圧倒的なすそ野の広さを誇っていた。しかし気が付けばそのすそ野がほとんどなくなってしまったのだ。
未就学児、低学年の普及活動を
プロ野球の野球振興担当者の中には、「これからはユニフォームを着て、グローブをもってやってくる子供を対象とした野球教室なんてしなくていい。野球のことなんか知らない幼稚園、保育所の子供に、野球ごっこを教えることを集中的にやるべきだ」とまでいう人もいる。
宮本慎也コーチがプロ野球選手会に「幼稚園や保育所をまわってほしい」というのも、そういう事情に危機感を抱いたからなのだ。
今の野球界は、こういう状況にある。
(取材・写真:広尾晃)