――テンポを速くすることに頭がいきすぎて、試合の流れが崩れてしまうことはありませんか。
西村 新チーム当初は、「とにかく速く」からスタート。攻守交代の目安は、60秒ぐらいです。そこから、状況を見ながら、テンポを変えることを教えていきます。速いスピードを経験しておけば、そこから緩めることはできるので。
――たしかにそうですね。
西村 三者凡退であれば2分30秒、ノーアウトから出塁を許したら5分00秒、1アウトからの出塁であれば4分40秒といったように、その状況によって、守備時間の目安を伝えています。1点を失うようなイニングであれば7分以内。ランナーが出たときは、意識的に時間を使っていくように指導しています。
――1球1球の間合いを長くしたり、タイムを取ったりできるわけですね。
西村 あとは、ベンチからのサインで時間を調整します。キャッチャーに送る配球のサインをあえて長くすることによって、時間は作れます。
――なるほど、ベンチからサインを出す狙いはそういうところにも出てくるわけですね。
西村 また、守備のテンポは、攻撃との絡みもあり、ピッチャーが何アウト目で終わったかによっても変わってきます。
――どういうことですか?
西村 3アウト目がピッチャーだった場合は、そのままの速いテンポで守備を始めても、失点はほとんどしません。緊張感が高まったまま、ピッチングにのぞめるからです。注意したいのが、2アウト目がピッチャーで次のバッターでチェンジ、あるいはピッチャーが塁上にいるときに3アウトになるときです。慌ただしい感じでマウンドに上がるので、このときはゆっくりしたリズムで守備を作っていくようにさせています。
――2アウト目がピッチャーだった場合、次のバッターには待たせますか。
西村 状況や打順にもよりますが、基本的には2ストライクまでは「待て」ですね。ピッチャーを休ませるようにします。
――中学時代からこういうことをしておけば、試合の流れを読む力もついてくるでしょうね。
西村 はじめは速いテンポについていくのが大変でしょうけど、それが当たり前になれば、余裕を持ってプレーができるようになるはずです。
(取材・写真:大利実)
*インタビュー後編へ続きます。