ニュース 2019.01.25. 12:20

筒香嘉智選手が語った、トレーニング、指導者、少年野球(後編)



僕自身は打席では「無」というか、ああしよう、こうしようとは考えていません。

小中学生の時は、「こういうホームランを打ってやろう」「思い切りバットを振ろう」と考えていました。でも、「あそこにヒットを打とう」「ちょこんと当てにいこう」「セーフティバントでセーフになろう」などと考えることはありませんでした。

今でも「ホームランを打とう」という思いはもっています。「打てなかったら困るなあ」というような頭の回路はありません。 

子どもたちが打席に向かうときに、日ごろから口うるさく言われているチームでは、選手は「ランナー進めたほうがいいかな」「バントしようかな」と思いますが、「好きに打ってこい」「三振する気で思い切り振ってこい」というチームの子どもは思い切りバットを振るでしょう。そういう違いがあると思います。

それから「ボールをよく見ろ」と言いますが、僕は、正直、ボールは全く見ていません。
人間の目はコマ送りで映像が流れています。コマとコマの間は、必ず途切れるので、そこに錯覚が起きます。見ているつもりでも実際と差があることもあります。

ボールを「睨みに行く」とそういうことが起こります。「球場全体が見える中で、ピッチャーが投げている」そういう感覚でボールをとらえる方が圧倒的にずれは少ないと思います。
イチロー選手も視力はあまりよくないと聞いています。打席に立ってもバックスクリーンの文字が読めないこともあるようです。プロでホームラン王とった選手でも視力が悪い選手もいます。

睨みにいった瞬間、ボールの画像は途切れるし、体も硬くなるので怪我しやすくなることにもつながります。

大人はそうしたことも含め、子供たちのために勉強しないといけないと思います。知らないことは、たくさんあるので、常にアップデートしないと子供たちの指導できないと思います。

素振りを披露した筒香選手










僕も上から打て、最短距離からバットを出して上からたたけと指導されました。人によって感覚が違いますが、僕はアッパースイングが一番いいスイングです。
プロでも上からバットを出していると言う人がいますが、実際のバットの軌道は全然違うものです。

指導者と選手の関係は、Wi-Fiと電子機器の関係に似ています。最近は、電波の受信状況が悪いWi-Fiのような指導者もよく目にします。お互いに尊敬しあって良い関係を作ってほしいと思います。

僕も、まだ勉強させていただいている最中ですが、和歌山、橋本の子どもに学んだことを少しでも還元していきたいと思います。

これからも「子供たちの将来」を一番に考えて指導していただきたいと思います。

(取材・写真:広尾晃)

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