部員数は増えたが、今度はさらなる課題が浮上した。
それは「勝てない」ということ。
投球制限をし、全員出場を原則とし、グレーゾーンのプレーも絶対にしないフェアプレーで勝つのはなかなか難しい。
それにハードルを下げたことで、運動が苦手な選手もいっぱい入ってくる。身体能力の改善はするが、それでも試合に出て活躍するのは難しい。このため、大人のイライラもたまっている。
この対策として、年2回のスポーツテストなどの結果を記した子供の成長記録を一人一人にフィードバックして、親御さんにも目に見える形で成長を示している。
また、運動能力が低い子が多いので、地域幼稚園と連携し、幼児トレーニングの体験会も行っている。
今、チームには試合に出場するよりも、アカデミー化して子供の健全育成を目的にすべきではないかという議論もある。
宮坂氏は
「チームの選手数の増加は、取り組みの一つであって、問題の解決ではない。野球界をどう活気付かせるのかに視点を置くべき」と強調した。
まとめ
最後に宮坂氏は以下のまとめで締めくくった。• スポーツの新しい常識を知り、少年野球の現場で実践することが、いま私たちにできること(指導者・保護者)
• しかし、取り組みを進める中で、現場には新たな課題が想定される
• それを踏まえて、NPBや各野球連盟など野球界を代表する組織には、子どもたちを育てる新たな仕組みづくりを期待
レベル別の大会の実施、大会時期の再検討(7,8月に試合をするのはどんなものか?)
• こうした総合的な取り組みによって、野球界の大きな進化に結びつけたい
宮坂氏の取り組みは、今の新しい野球指導の在り方と共通する部分が非常に多い。
注目すべきは、
1.スポーツ少年団になった
2.AEDを購入した
3.地域のティーボール大会を主催した
と3つの明確な指針を打ち出したことで、さまざまな問題を短期的に解決することができたことだ。多くのチーム、指導者にとって参考になるのではないか。(取材・写真:広尾晃)