転がしたボールを両手の力を抜いて柔らかく捕球する練習の後に行われたのは、その後の送球動作について。まずは前から軽く投げたボールを歩きながら捕球し、グラブを体の中心に収めてから投げるというものだった。
これも佐藤さんの解説によると、以前から日本で教えられていたものとは違うという。昔は捕球したらグラブを投げる方の手(右投げなら右手)の方に持ってくると教えられていたが、そうするとグラブを横に移動させる分だけ動きが大きくなり、投げる動きにもぶれが生じやすいというのだ。
そうではなく最も安定している体の中心にボールを受けたグラブを収め、そこからなるべく体の近くで腕を振ることで送球は自然と安定するようになる。
これはゴロを捕球してからの動きでも同様で、まずは佐藤さんのスクールに通う中高生が実演を見せたが、全員がグラブを柔らかく使って体の中心に収め、スムーズに送球動作に入っていた。
体の真ん中にグラブとボールを収めると腕を引く動きが小さくなる分、ボールの勢いが出せなくなるのでは? という疑問が出てくるが、そこでポイントになるのがステップと下半身の使い方だ。ゴロを捕球する前に一瞬の“間”を作り、そこから前に移動しながら捕球して送球動作に移ることによって、上半身の力を使わずにスムーズに速いボールが投げられるようになるという。
バッティングでもあらゆるボールに対応したり、遠くに飛ばしたりするのには“間”が重要だと言われるが、守備の動きでも同様のことが言えるだろう。
「レポートその3」ではフットワークの練習、トスの柔らかさを出すための練習などをお伝えする。
(取材・動画:西尾典文/写真:編集部)