投げるバリエーションを訓練した後は平岩さんにバトンタッチし、ボールを追うためのバリエーションの練習。コーンを置いてその線上に体を平行に向けたまま、サイドステップや普通のステップで動き、またコーンを8の字に動きながら通るといった動きが行われた。また二人一組になって向き合い、そのままの向きで一人が逃げて、もう一人が追うというものも行われたが、これは止まる動きと切り返す動きの訓練になるという。
野球でもボールを見ながら追うことは多々あり、また瞬時に切り返すという場面にも有効な練習と言えるだろう。
午後1時から行われた練習会は午後5時頃に終了。4時間にわたるものだったが、ありとあらゆる動きが取り入れられており、参加した選手は退屈する様子もなく、あっという間に時間が過ぎたように感じた。
佐藤さんが盛んに言っていたのが「今できなくてもいい」ということ。無理に押し付けるのではなく、動きの基礎を知って実践し、体が成長してからできればいいというのは普段から「NPO法人日本少年野球研究所」のコラムでも発信していることと見事にリンクしていた。また佐藤さんが野球の投げる、捕る動作について重要なポイントを話し、それに繋がる動きを平岩さんが指導するという絶妙のコンビぶりも強く印象に残った。
最後に佐藤さん、平岩さんに少年野球年代において重要なことを聞いた。
「あれこれ細かいことを大人が教えるのではなく、投げる時に言った『最初と最後に真っ直ぐ立つ』ということがちゃんとできれば子どもはOKだと思います。日本人はノックが好きですけど、子どものうちはノックも必要ない。今日やったような捕球と投げる動作を少しやればあとは遊んでいてくれていいと思います。指導者の方にはポジションを固定したりやることを狭めるのではなく、とにかくできることを広げるためにどうすればいいのかということを考えてもらいたいですね」
「自分が選手や子どもを見る時はある一定の部分ではなく全体を見るようにしています。そうすることで色んなものが見えてくる。走るという動きについては今日も再三言いましたが『軽く動く』ということが全て。そのための接地です。佐藤さんもノックの話がありましたけど、長時間同じ動きを繰り返すとそれだけ姿勢は固まって、動きも悪くなります。子どもの『やりたい』という気持ちをつぶさずに育てることを意識して指導してもらいたいと思います」(取材・動画:西尾典文/写真:編集部)