ニュース 2019.03.04. 12:51

「野球を好きになること」「選手、指導者相互のリスペクト」高知市で阪長友仁氏講演会

「球数制限」と飛びすぎるバット

日本では新潟県高野連の「球数制限」の話が話題になっているが、MLBは2014年に年齢ごとの球数と登板間隔を定めた「ピッチスマート」を制定した。ドミニカ共和国では球数制限のルールはないが、将来へ向けた大事な「資産」である子供の肩、肘を守るのが当たり前になっている。韓国高校野球でも「球数制限」をしている。日本だけがかけ離れている。
また飛びすぎる金属バットも日本の高校野球だけが導入しているものであり、その弊害も大きい。





スポーツ界の不祥事は「リスペクト」がないから

日本では昨年、スポーツ界で様々な不祥事が起こった。日大アメフト部、アマチュアボクシング協会、女子レスリング協会、女子体操協会、野球界でもそういう事件が起こった。
こうした事件を防ぐにはどうしたらいいのか。
ドミニカ共和国では選手と指導者が互いに「リスペクト」することを大事にしている。日本の「リスペクト」は「上下関係」があり選手が指導者をリスペクトする事が多いが、ドミニカ共和国では「横並びの関係」であり、選手と指導者が同じ立場で認めあっている。
日本では試合でミスをすれば指導者が叱るが、ドミニカ共和国では「次は大丈夫だ、思い切ってやれ」と励ます。ミスをしたいと思っている子供はいない。「次は取り返そう」と思っているのだから、指導者はその気持を尊重して励ますのだ。

堺ビッグボーイズの方針転換



阪長氏がコーチを務める堺ビッグボーイズは2年連続で全国大会で優勝したこともある強豪チームだったが、そのメンバーの大半が大学までに野球をやめてしまっていた。
チームは10年前に方針を変更し、球数制限を導入。練習時間も短縮し、効率的にトレーニングする仕組みを作った。また怪我をしないためのエクササイズにも重きを置いている。堺ビッグボーイズのOBである筒香嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)はいまだにこのエクササイズを行っている。
またトーナメントではなくリーグ戦の大会も実施している。



もちろん、日本の野球にも「規律」や「道具を大事にする」など良い部分もたくさんある。ドミニカ共和国でも日本の良い部分を取り入れたいという動きもある。
しかし世界の動きからみれば日本野球は改革すべきことが多い。特に少年野球では、子供の健康を守り、野球を続けていくためにも「球数制限」など、早急に導入すべき課題がたくさんある。
野球の未来のために、今後も活動していきたい。

活発な議論も



講演後は活発な質疑応答が行われた。高知ファイティングドッグスの駒田監督からは「球数制限の重要性はわかるが、野球界全体を変えていかなければ改革は進まないのではないか」という意見が投げかけられた。

阪長氏の講演会は1回ではなく「指導者論」「技術論」などさらに専門的な分野の内容に別れていく。他の地方ではセミナーとして定期的に行われている所も多い。高知県での講演会も、今後、更に回数を重ね、議論を深めるべきだろう。(取材・写真:広尾晃)

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