ロッテの西野勇士は今季ここまで3試合・17回を投げ、0勝2敗、防御率3.71だが、投球を見ていて悪い印象を受けない。
特に昨季苦しんでいたストレートは、オープン戦で「今年は結構いい感じに来ているのかなと思います」と話していたが、シーズンが始まってからも変わらず「いいと思います」と手応えを掴む。それだけに、前回登板の楽天戦でいえば、0-0の2回二死一、三塁で中島大輔に2ボール1ストライクから投じた4球目の144キロストレートをライトスタンドに浴びた一発は非常にもったいなかった。
西野本人も「2ボール1ストライクで、インサイド真っ直ぐのサインが出た。う〜ん、やっぱりカウントを悪くして、3ボールにして上位に1番に回るというところで、こっちとしては平行カウントを保ちたかった。そのぶん、甘くいっちゃったし、せめてコースだけいってくれれば良かったですけど、それが少し浮いちゃったというのもあって、本当に失投ですね。他の球種を選択すれば良かったんじゃないかなとも、後から思ったんですけど、う〜んという感じですね」と反省した。
ストレートだけでなく、フォークも良い。4月20日の楽天戦、0-0の初回先頭の宗山塁をストレートで追い込み1ボール2ストライクから投じた4球目の142キロ空振り三振フォーク、1-3の5回無死三塁の小深田大翔に3ボール2ストライクから空振り三振を奪った6球目の142キロフォークが良かった。
フォークについて西野は「いいですよ。握りを少し変えたんですけど、そのぶん落ちているし、いい感じで投げられているんじゃないかなと思います」と話し、小深田から奪った三振についても「良かったです。調子はいいです」と続けた。
気になるのは今季、奪三振が17イニングを投げて6つと少ないこと。4月9日の西武戦では初回だけで23球を投げ、2回以降はスライダー、カーブを中心に打たせて取る投球をしており、西野が常に口にする“ゲームを作る”ということも奪三振の少なさに関係しているのだろうかーー。
「三振を取れる時は取りたいし、もちろん取りに行こうと思っていますけど、そこまで三振に強いこだわりはないので。それよりはコース投げて、相手の意識と違う球を投げて、こっち有利にカウントを作って、打ち取っていけたらいいなといつも思っています」。
前回登板で言えば、1-3の5回無死三塁で小深田から三振を奪った場面のようなところでは、三振を狙っていきたい考えなのだろうかーー。
「そうです、あそこもそうです。次の浅村はあたっちゃいましたけど、浅村の時もそうですし、西武の時の中村さんのところもそうですし、狙って行ける時は狙っていきたいなと思います」。
去年は調子が良くない中で、3試合の登板を終えた時点で、2勝1敗、防御率0.87と抜群の安定感を誇り、勝ち星がついていた。今季は調子が良いが、白星がつかないことに関してフラストレーションが溜まったりはしないのだろうかーー。
「今のところないですね。とりあえずこの調子だけを落とさないようにしようというのが強いですけど、いい球を投げても結果が出なければ意味がない。どうにか次はいい結果をと切り替えていくしかないと思っています」。
今季は投げている球自体は練習試合からいいだけに、公式戦が始まってからもったいない投球が続いている。本人も「本当にその通りだと思います。僕ももったいないと思います」と話す。
「調子を維持しないといけないし、これで僕は大丈夫だと思っているので、これで結果が出なかったら考えないといけないですけど、調子自体はいいので、このまま引き続きやっていくだけかなと思います」。今日こそ白星を手にしたい。
取材・文=岩下雄太