「スポーツ人間模様」 ~広島・鈴木誠也~
2016年の流行語大賞に選出された「神ってる」――。そのひと言によって一躍時の人となったのが、広島・鈴木誠也だ。
オフの契約更改では、年俸6000万円(推定)でサイン。年俸6000万円と聞いただけなら、それほど驚くことはありません。でも、1700万円からの“275%増”と言われれば、まさに「神ってる」でしょう。
「想像以上です。ぼくの力ではない。神ってると(監督から)言われたから、今があります」と、シーズンを振り返った男。鈴木の2016年を語る上で欠かせないシーンと言えば、6月17日・18日のオリックス戦で放った2試合連続のサヨナラ本塁打です。
18日の試合の後、緒方孝市監督が言った「今どきの言葉で言うなら、神ってる」。この発言から、鈴木のシンデレラストーリーは幕を開けました。
チームとともに止まらない快進撃で、最終的には打率.335、29本塁打、95打点をマーク。チームを25年ぶりのリーグ優勝に導く大活躍を見せました。
とはいえ、春季キャンプでは右足ハムストリングスを負傷するなど、開幕戦に間に合わなかったことから、「来年はケガがないように、1年間フルで出場できるように頑張りたい」とコメント。個人成績に関しても「何とも思っていません。もっと上を目指しているから」と
言ってのけました。
カープといえば、地元出身選手がスターになると思われがち。しかし、鈴木は東京・荒川区の出身で、菊池涼介も東京です。
とりわけ、鈴木は名作漫画・巨人の星の舞台である町屋生まれだったこともあり、子ども時代には“平成の星親子”としてテレビのバラエティー番組に登場したこともあるのです。
それがまさか、今では広島の星になろうとは、誰もが予想はしていなかったことでしょう。
2012年のドラフト2位で広島に入団。実は日本シリーズで対戦した日本ハムも、鈴木を狙っていたといいます。仮に広島が2位で指名していなければ、昨年の“神ってる”フィーバーもなかったのです。
広島のスカウトはこんなことも語っていました。「誠也は甲子園に出場していない。もし甲子園に出ていたら、2位でも獲れなかっただろう。我々も神ってた!」。
今年は当然、昨年よりも警戒されます。今年の目標は「(打率)10割、(本塁打)200本、1,000打点です!」とのこと。今年もぜひ、“神ってる”活躍を見せていただきたいものです。