若手野手が伸び悩み気味の巨人
08年に高卒2年目の坂本勇人が遊撃のレギュラーに定着し、同年に山口鉄也が新人王に輝くと、この年から4年連続で巨人の選手が同賞を受賞した。一時は“育成の巨人”と呼ばれていたが、野手に限ると育成が上手くいっていない印象にある。
今季プロ11年目を迎えるチームキャプテンの坂本は、高卒2年目の08年から毎年規定打席に到達しているが、その下の世代はというと、16年の小林誠司のみ。11年に坂本より1学年下の藤村大介が盗塁王に輝いたが、規定打席には到達していない。内野手、外野手に限ると、坂本より下の世代が伸びていない印象だ。
特にオフのトレードで日本ハムへ移籍した大田泰示は、08年ドラフト1位で巨人に入団し、松井秀喜氏が巨人時代に着けていた背番号『55』を与えられるなど、期待度はかなり高かった。将来は坂本とともに巨人を引っ張っていく存在になるかと思われたが、プロ入り後は、一時期4番を任されたこともあったものの、レギュラー定着に至らず。FA、外国人といった新戦力との競争に勝つことができなかった。
3年目の岡本に期待
大田はトレードで日本ハムへ移籍したが、期待の若手がいないわけではない。3年目の岡本和真は昨季、村田修一との三塁のレギュラー争いに敗れ、一軍の出場機会が3試合にとどまったが、二軍ではイースタン・リーグトップの74打点を記録。本塁打もリーグ2位の18本塁打をマークするなど、二軍では結果を残した。
今季は村田だけでなく、楽天時代に優勝、日本一に大きく貢献したマギーが加入し、三塁のレギュラー争いが激化。岡本は出場機会を掴むため、左翼にも挑戦中。まだ高卒3年目ではあるが、巨人OBの松井秀喜氏、遊撃のレギュラー・坂本は3年目でレギュラーを張っていた。若手が伸び悩んでいることも踏まえて、球団としてもレギュラーに近い存在になって欲しいところだろう。
重信も期待の若手
大卒2年目の重信慎之介も、期待の若手のひとりだ。昨季は紅白戦、練習試合で存在感を示し、開幕一軍を掴むも、一軍の球に対応することができず一軍出場はわずか25試合に終わった。
2年目の今季は11日に行われた紅白戦で、2安打2盗塁とアピールし、18日の韓国・サムスンとの練習試合で1安打1盗塁を記録。武器である走塁でアピールしているが、バントの失敗が目立つなど課題もある。選手のタイプ的にも小技が求められるだけに、一軍生き残り、その先のレギュラーを掴むためにも課題克服が最重要課題となる。
常に優勝が求められる伝統球団ということもあり、毎年FAや助っ人外国人を補強する。ただ、若手野手も新戦力に負けないくらいの活躍を見せなければ、世代交代が上手くいかず低迷する恐れもある。00年代後半から黄金時代を築いていた中日も、世代交代が上手くいかずに低迷した。そうならないためにも、1人でも多く、ポジションを奪う若手選手が出てきてほしい所だ。