股関節手術からの復帰を目指す杉内俊哉

◆ 豪華すぎる2軍メンバー

 そこはまるでジャイアンツ球場ではなく、東京ドームのようだった。2軍の試合のはずが、1軍メンバーのような豪華な顔ぶれ。8日土曜日、イースタン・リーグの巨人対楽天戦。先発した高木勇人(27歳/年俸3700万円)が無四球の5安打完封勝利を飾った。

 スタメンは1番中堅・松本哲也(32歳/2400万円)、2番右翼・橋本到(26歳/2900万円)、3番遊撃・クルーズ(33歳/2億4400万円)、4番DH・ギャレット(35歳/1億5960万円)。さらに2塁を守るのは片岡治大(34歳/6000万円)、マスクを被るのは相川亮二(40歳/4500万円)である。

◆ 安定の投手陣

 彼らを擁する巨人2軍は13勝2敗、勝率.867の好成績でイースタン首位独走中(9日終了時)。セ・リーグ首位を争う1軍以上の開幕ダッシュを見せている。先発陣は宮国椋丞(24歳/2700万円)が開幕から完封勝利を含む15イニング連続無失点中。さらに股関節手術からの復帰を目指す杉内俊哉(36歳/5000万円)が2試合計11.1回で防御率2.38と1軍復帰も秒読み段階に入っている。

 昨季1軍で14試合に先発したサウスポー今村信貴(23歳/1600万円)も2軍のローテでチャンスを待つ日々。そして、育成選手のアダメス(22歳/240万円)は先発として2勝、防御率1.50の好成績。右の中継ぎ候補として由伸監督も注目する篠原慎平(26歳/310万円)も6登板でいまだ無失点だ。

◆ 世代交代の渦中で

 野手の方では、主に5番を任せられ4割を超える打率をマークする北篤(28歳/870万円)や毎年期待されている左の大型内野手の辻東倫(22歳/900万円)らが打撃好調をキープ。さらに背番号57に変更した11年盗塁王の藤村大介(27歳/1000万円)、その藤村から背番号0を継承したドラ1ルーキー吉川尚輝(22歳/1500万円)らもアピールしようと必死だ。

 「由伸チルドレン」とも呼ばれる20歳の岡本和真、23歳の重信慎之介や石川慎吾らが開幕1軍入りし、世代交代の渦中にあるチーム事情。これに加えてマギーやカミネロを新たに補強した外国人枠争いも熾烈を極め、昨年開幕戦の4番ギャレット、5番クルーズといった主力を張った助っ人陣ですら2軍スタートを余儀なくされている。

 いわば現在のファームは実績のある大物ベテラン選手と、プロスペクト抜擢によって出番を失ったアラサー中堅層や20代前半の若手が熾烈な競争を繰り広げているわけだ。

◆ 血の入れ替え

 ある2軍監督にインタビューした際、「1軍で実績がある選手は2軍にいる間、若い選手の面倒を見てくれます。場合によっては指導までしてくれる。最近の選手はそのあたり凄い親切ですね。僕らが若い頃は1軍の選手が2軍の若手に声をかけてくれたり、教えてくれるなんてありえなかったですよ」と笑っていた。

 今季の巨人2軍は、あらゆる世代がそれぞれ刺激し合い斎藤雅樹監督を中心にチームとしてまとまっている印象だ。そして、昨オフには大田泰示や小山雄輝らがトレードでチームを去り、16年から3軍制度ができて選手の入れ替わりが進み、数年前とはベンチの顔触れも大分変わった。

 “2軍慣れ”という言葉があるが、一種の馴れ合いのような雰囲気を作らないためにも、2軍こそ常に血の入れ替えが必要不可欠だと個人的には思う。

◆ このままでは終わらない

 イースタンを独走する巨人2軍、シビアな見方をするとそこで活躍するのは開幕1軍争いに敗れた男たちだ。このまま終わるわけにはいかない。長いペナントレース、チャンスはまた必ずやってくる。だからこそ、今は腐らずこの場所で結果を残し続けるしか道はない。

 彼らの“敗者復活戦”は、今日もジャイアンツ球場で続いている。

【4月8日 イースタン・リーグ楽天戦 巨人2軍先発オーダー 】
※各選手数字は16年1軍成績
1 松本哲也(中) 52試 率.174 0本 1点 OPS.426
2 橋本到(右)  74試 率.233 2本 20点 OPS.635
3 クルーズ(遊) 81試 率.252 11本 37点 OPS.690
4 ギャレット(指)123試 率.258 24本 68点 OPS.813
5 北 篤 (左)   3試 率.200 0本 0点 OPS.629
6 片岡治大(二) 32試 率.222 2本 4点 OPS.609
7 辻東倫(一)  15試 率.176 0本 0点 OPS.535
8 相川亮二(捕) 37試 率.244 0本 4点 OPS.626
9 柿沢貴裕(三) 楽天からトレード加入
P 高木勇人    25試 5勝9敗 防4.31

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

【中溝康隆・プロフィール】 1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。デザイナーとして活動する傍ら、2010年よりブログ「プロ野球死亡遊戯」を開始。累計6400万PVを記録し話題に。2015年には初の単行本「プロ野球死亡遊戯 そのブログ、凶暴につき」(ユーキャン)を上梓。2016年3月25日には著書「プロ野球死亡遊戯 さらば昭和のプロ野球」(ユーキャン)と「隣のアイツは年俸1億 巨人2軍のリアル」(白泉社)が2冊同時発売された。

この記事を書いたのは

中溝康隆

1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2010年開始のブログ『プロ野球死亡遊戯』が話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人を担当し初代日本一に輝いた。主な著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)『令和の巨人軍』(新潮社)ほか。新刊『巨人軍vs.落合博満』(文藝春秋)も絶賛発売中! 

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