田中将大 ,
苦しい投球が続くヤンキース・田中

◆ 日本人投手の苦悩

 今季は開幕から日本人メジャーリーガーの苦戦が目立っている。特に投手では、ヤンキースの田中将大が14試合に投げ、5勝7敗、防御率6.34という散々たる数字が並び、すでに“エース失格”の烙印を押されている。

 今季の田中を象徴しているのが被弾の多さだ。76回2/3を投げ、許した本塁打は21本。この数字はメジャー全体で2番目に多い。田中の投球を見ていても、決して甘くない低めの球を軽々とスタンドに放り込まれるシーンが多い。

 今季の田中の被本塁打率(※9イニングあたりの被本塁打数)は2.47。2014~16年の1.14に比べ、2倍以上のペースで一発を許していることになる。これだけ一発が多ければ、6点台の防御率も仕方がないところだ。

 また、田中ほどではないが、ダルビッシュ有(レンジャーズ)の被本塁打率も昨季までのメジャー通算0.91から今季は1.24に増加している。

◆ メジャー全体で本塁打が増加

 実は本塁打(被本塁打)の増加は2人に限ったことではない。2017年のメジャーリーグは過去にないペースでホームランが生まれているのだ。

 メジャー全体での9イニングあたりの本塁打数を見ると、今季は1.27本。これまでの最高はいわゆる“ステロイド時代”真っただ中の2000年に記録された1.18本。今季はその17年前の記録を大きく上回るペースで本塁打が乱発している。

 1990年以降に絞って、投手個人の被本塁打率を調べてみた。ワーストランキングは次の通りだ。

【1990年以降・被本塁打率ワースト6】
1位 2.91 ブロンソン・アローヨ(レッズ/2017年)
2位 2.47 田中将大(ヤンキース/2017年)
3位 2.39 リッキー・ノラスコ(エンゼルス/2017年)
4位 2.27 ジョン・ラッキー(カブス/2017年)
5位 2.25 マイク・ファイアーズ(アストロズ/2017年)
6位 2.20 ホセ・リマ(アストロズ/2000年)
[※規定投球回数以上]

 シーズン半ばとはいえ、なんと上位5名が2017年の選手たち。昨季までのワーストは2000年にホセ・リマが記録した2.20であったが、田中を含む5名がそれを上回るペースで本塁打を許している。

 ワースト1位のアローヨはすでに40歳のベテランで、2015~16年は故障などもあり、メジャー登板がなかったブランク明けの投手。この先、アローヨが規定投球回数に達しない可能性もあるだろう。そうなると、田中が不名誉な歴代ワースト1位に名前を残す可能性すら出てくる。

◆ 202イニングで4本塁打!?

 最後に、参考までに1990年以降の被本塁打率が少なかったランキング上位5人を見ておこう。

【1990年以降・被本塁打率ベスト5】
1位 0.18 グレグ・マダックス(ブレーブス/1994年)
2位 0.24 グレグ・マダックス(カブス/1992年)
3位 0.24 トム・グラビン(ブレーブス/1992年)
4位 0.26 アンディ・ペティット(ヤンキース/1997年)
5位 0.27 ギャレット・リチャーズ(エンゼルス/2014年)
[※規定投球回数以上]

 1990年代前半といえば、本塁打が出にくい投手優位の時代だった。とはいえ、上位を占める名投手たちの数字は際立っている。

 1994年のマダックスは、202イニングを投げて許した本塁打はわずか4本だけ。田中は5月14日のアストロズ戦(1回2/3、14打者と対戦)だけで、4本塁打を浴びている。時代が違うとはいえ、今季の田中の一発病はかなり深刻だ。

 歴史的ペースで本塁打が乱発している2017年。厳しい言葉がぶつけられている田中は意地を見せることができるか。ここからの立て直し、対応力に期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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