熾烈な外野争いの影で…?
昨シーズンは球団ワーストの96敗を喫し、セ・リーグ最下位に沈んだヤクルト。小川淳司監督の下で復活を目指すチームに、衝撃の一報が飛び込んできた。
メジャーでプレーしていた青木宣親の復帰―。未だ正式発表はないものの、現地メディアでは「3年10億円で復帰に合意」と具体的な内容まで挙がっており、発表も秒読み段階だと言われている。
日本では首位打者3回に最多安打が2回、盗塁王も1回に、最高出塁率が2回...。日本球界最高のヒットメーカーとして君臨してきた男も、メジャーでは6年間で7チームを渡り歩くジャーニーマンになったが、環境を変えながらも安定して2割8分台の打率をマークしてきた。
36歳になった今でも、外野の一角にこの男が加わるというのは最下位チームにとって朗報だろう。外野には主砲のウラディミール・バレンティンとどん底から這い上がった坂口智隆、そして雄平という3枚がおり、そこに期待の若手・山崎晃太朗や新人の塩見泰隆らを加えたレギュラー争いは熾烈。上田剛史や比屋根渉といった中堅どころも含め、目が離せない争いになる。
畠山が本命も…
激戦となりそうな外野戦争の影で、にわかに盛り上がりを見せているのが“一塁”の争いだ。
キャンプ直前、青木復帰の一報を聞いたバレンティンが小川監督に一塁転向を直訴し、即座に否定されたという一幕が報道されて笑いを誘っていたが、それだけ今のチームに確固たる存在がいないということでもある。
ヤクルトの一塁手と聞いて真っ先に思い浮かべるのは畠山和洋だろう。2015年は打点王のタイトルを獲得し、チームの優勝に貢献。しかし、ここ2年は故障もあって満足な働きができておらず、故障明けとなる今季もいきなりフルシーズンの活躍に期待するのは難しい。
畠山不在の時期はと言うと、昨季は荒木貴裕(50試合)、武内晋一(44試合)、リベロ(40試合)、大松尚逸(23試合)の順に出場。と言ってもリベロはチームを去り、大松も代打がメインであった。この中で対抗馬となるのは、荒木となるか。
昨季の荒木はキャリア最多となる91試合に出場。同じく最多の6本塁打をマークした。打率は.207とやや物足りないものになったが、バレンティンの残留によって今年は野手の外国人補強もなく、確実性を上げることができればレギュラー奪取のチャンスも大きい。
川端にコンバートの可能性も?
また、現時点での可能性は薄いものの、川端慎吾のコンバートという線もある。
昨季はヘルニアの影響で長期離脱。二軍戦で復帰を果たすも、そこからの経過は順調にはいかず、シーズン中に手術を選択したことでプロ入り後初の一軍出場なしに終わった。
その二軍戦では、1試合のみではあるが一塁の守備にも就いている。ドラフト1位で獲得した高卒捕手・村上宗隆の三塁挑戦が決まっているところからも、将来的なコンバートの可能性は低くはないだろう。
さらに、昨季は元捕手・藤井亮太が三塁でブレイク。シュアな打撃とアクロバティックな守備を武器に97試合の出場を果たしている。このキャンプからオープン戦の内容次第では、引き続き藤井を三塁に置いて、故障明けの川端を負担の一塁に回すという構想も大いにあり得る。
青木の復帰により、各地で巻き起こる熾烈なレギュラー争い。最下位からの逆襲を目指すヤクルトの“チーム内の戦い”から目が離せない。
【ヤクルトの一塁候補】
▼ 畠山和洋
[昨季成績] 15試 率.212 本2 点4
▼ 荒木貴裕
[昨季成績] 91試 率.207 本6 点25
▼ 武内晋一
[昨季成績] 66試 率.204 本0 点5
▼ 大松尚逸
[昨季成績] 94試 率.162 本3 点16
▼ 川端慎吾
[昨季成績] 10試 率.143 本0 点3 ※二軍成績