開幕一軍入りも…
DeNAの“第6の助っ人”が躍動している。
今季から加入した、プエリトリコ出身29歳ネフタリ・ソト内野手。春のキャンプではアレックス・ラミレス監督から「野手MVP」に選ばれるほどのアピールを見せ、オープン戦でも15試合で打率.313、2本塁打と好調をキープ。激しい外国人枠争いを勝ち抜いて、見事に開幕一軍のイスを勝ち取った。
ところが、待っていたのは残酷な運命。シーズン開幕を目前に控えた3月28日、練習中に太ももを負傷。別メニュー調整で様子見となるも、開幕翌日の31日に登録を抹消されてしまう。
異国の地で掴みかけたチャンスが、一瞬にして消えた。それでも男は決して腐ることなく、ファームで実戦に復帰すると6試合で打率.450、3本塁打の大暴れ。格の違いを見せつけると、5月6日に晴れて一軍復帰を果たした。
チームの救世主に
5月6日、チームは雨天中止と引き分けを挟んで4連敗中という状況だった。期間中は1点・1点・2点・0点・3点と得点力不足に苦しんでおり、そこで首脳陣はファームで打ちまくっていた新助っ人に白羽の矢を立てる。
するとその試合、いきなり「2番・右翼」でスタメン出場すると、第1打席で挨拶代わりの適時二塁打。先制点をもたらすと、勢いに乗った打線はつづく筒香嘉智の適時打とホセ・ロペスの本塁打で一挙4点を挙げた。
さらにソトは第2打席で来日初本塁打を放つなど、デビュー戦で5打数2安打・1本塁打・2打点の活躍。チームも18安打で12得点を挙げる快勝で、連敗を4で止めた。
予定よりは遅れたものの、鮮烈なNPBデビューを飾ったソト。以降も登録は内野手でありながら「2番・右翼」を定位置に打ちまくり、ここまで12試合で打率.431、3本塁打、7打点をマーク。首脳陣のねらい通り打線の起爆剤となり、チームに再び勢いをもたらす救世主となっている。
なお、5月23日時点で月間打率は堂々のリーグトップ(※規定到達以上)。NPBから発表される「5月度月間MVP候補選手」にも選出された。
立ちはだかる“枠”の問題
早くもチームに欠かせない存在となりつつあるソトだが、気を抜くことはできない。助っ人にはどうしても“外国人枠”という問題がついて回るからだ。
現在のNPBのルールでは、各チームが一軍に登録できる外国籍選手の人数は「4名まで」。また、「投手4人」や「野手4人」という登録は認められておらず、「投手・野手合わせて4人」というルールになっている。
チームの外国籍選手では、打線の軸にして一塁守備のスペシャリスト、加えて精神的支柱としても絶大な存在感を発揮しているホセ・ロペスがおり、この1枠は不動。故障でもない限りは空くことがないだろう。
残りの3つを争うのが、ソトと4人の投手たち。今季は無念の二軍降格となったソトと入れ替わる形で開幕直後に一軍昇格したエドウィン・エスコバーが好調で、ここまでチームトップの24試合に登板して1勝1敗7ホールド、防御率は1.16と安定感抜群の投球を披露。自身の地位を確固たるものにしつつある。
また、故障で開幕に間に合わなかったジョー・ウィーランドが4月の下旬に戦列復帰。昨季2ケタ・10勝を挙げた計算の立つ右腕だけに、こちらもコンディションの問題がなければローテーションの一角として定着することだろう。
この時点で枠は3つ埋まり、残るひとつの枠はソトか、投手のスペンサー・パットン、エディソン・バリオスによる争いになる。パットンはウィーランドと入れ替わる形で二軍降格となったが、昨季は62試合に登板するなどシーズンを通してセットアッパーを務めた経験があり、ラミレス監督も絶大な信頼を寄せている。
BCリーグを経てNPB復帰を果たしたバリオスも、期待を裏切る投球で4月21日の登板を最後に二軍での調整が続いているが、今後どこかで先発陣に何かあった時には声がかかる可能性も高い選手。ソトはその時に「落とせない選手」と思わせるような結果を残していなければならない。
熾烈な外国人枠争いを制し、今のポジションを不動のものにできるか…。DeNAの救世主ネフタリ・ソトから目が離せない。