ニュース 2018.06.25. 11:45

連続試合出場記録に懸ける思い~葛藤と成長【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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阪神・鳥谷敬(C)KYODO NEWS IMAGES

連続出場がストップ


 今週は、連続試合出場が途切れてしまった阪神タイガースの鳥谷敬選手について、お話していきたいと思います。

 5月29日の甲子園のソフトバンク戦を遂に鳥谷選手が欠場して、連続試合出場が1933試合で止まってしまいました。第1位は衣笠さんの2215試合で、鳥谷はそれに続いて1933試合。金本監督も歴代3位の1766試合連続出場しているだけに、鳥谷を欠場させるということは、非常に勇気のいったことだと思いますね。

 鳥谷は一昨年も、年齢的な衰えからスタメンを外れたりしていました。その辺りから、金本監督が鳥谷に気遣う談話が増えてきました。金本監督もだいぶ使い辛いだろうな、気にしているだろうな、ということが世間に分かるようになりました。

 それに輪をかけて今年はさらに不振で、年齢的なものかどうか分からないのですが…。従ってショートというハードなポジションから昨年がサード、今年はセカンドに転向。それでも如何せん打率が、欠場するまでは1割4分3厘ということは、7回打って1回しかヒットが出ない。低打率だったので、金本監督これはどこかでという気がしたと思うのですが、鳥谷選手もよく分かっているから、そう問題になることではないと思います。

 ただプロ野球の監督は、記録を作らせる、タイトルを取らせる、これがやっぱり監督の大きな仕事だと言われているだけに、その記録を切ってしまったとういうことで、非常に彼も申し訳ないと思っているでしょうね。さっき申し上げたように、日本での第1位が衣笠選手で、2215試合。第2位は鳥谷選手の1939試合、第3位が金本監督の1766試合。あとは4位が松井秀喜さん。5位が飯田徳治さんという昔の南海の名一塁手です。

 現役では埼玉西武ライオンズの秋山翔吾選手が、トップの605試合連続出場中です。まだまだ鳥谷には足りませんが、好不調の波がなくて、コンスタントに打てる。しかも身体が丈夫なバッターは、いつか衣笠の記録に達するんじゃないかと思います。西武ライオンズの秋山選手の605試合(6月24日終了時点)。是非皆さん覚えておいて頂きたいと思います。


 掛布さんはケガしたら休んでいた?


 プロ野球は記録がすべてというところもありまして、鳥谷選手もこれでガックリきていると思います。どうして鳥谷があるいは金本監督が連続試合出場ということにこだわったかというと、実はあの鳥谷選手の先輩の掛布雅之さんの存在があります。

 掛布さんは、非常に小さな身体で頑張っていた阪神タイガースの4番バッターでした。ところが掛布さんは、比較的小さい故障の多い人でした。故障すると衣笠さんのように、歯を食いしばって出て来るとか、というタイプではなく、比較的にすぐ休んでしまうバッターでしたね。

 ある時、広島が遠征した時に甲子園球場で山本浩二さんが掛布さんを呼んで、「かけ、4番バッターというのはなぁ、そう簡単に休むもんじゃないんだよ。監督が打線を組むのに苦労する。みんなだって4番に期待する。第一お前、多くのお客さんが4番を見に来るんだぞ。だからお前簡単に休んじゃ駄目だよ。」ということを、言ったことがあるんですね。

 恐らく鳥谷さんが聞いていたか、あるいは鳥谷選手の耳に入ったか、ということで彼も必死に4番ではないけれど、阪神の中心として休んではいけないということを理解していたと思います。腰の骨を折ったり、右手人差し指の裂傷があったり、肋骨を折ったり、鼻骨を去年骨折し、鼻の骨を折ってマスクマンで試合に出てきましたね。


骨折しても出場した衣笠さん


 先日も衣笠選手と古葉さんの話をしました。古葉監督が、衣笠選手が2215試合連続試合出場中にデッドボールでも、骨折したり、熱があったり、どうしようもない時がいっぱいあったりしたと。「さち休め」と言ったのですが、衣笠さんは何でも「連続試合出場もかかってる。出たい。」「休め」「出たい」と話し、監督の古葉さんとそれから主力打者の衣笠祥雄という関係で、非常に関係が悪くなったことがあるんです。

 「お前出るんだったら俺の言うことを聞け」という風に古葉さんに言われたこともある。俺の言うことも何もとにかく俺の打ち方で打つんだ。というのは衣笠さんの考えで、衣笠さんを後押ししてくれたのはファンの声ですが、結局監督と選手というのは、みんな1度はそういう経験をすると思うんですね。

 今回の金本、鳥谷、この関係もどうだったか分かりませんけれど、鳥谷選手は鳥谷監督になった時に、絶対同じようなことを経験すると思う。ま、そういう意味では良い経験をしたんではないかと思います。

 さて、今週の深澤弘のショウアップナイターヒストリーいかがでしたでしょうか。これからも楽しんで頂ける裏話、とっておきのネタをお話したいと思います。どうぞお楽しみに。ではまた来週、深澤弘でした。


(ニッポン放送ショウアップナイター)

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