◆ “38号”の競演
シーズンも最終盤に差し掛かり、順位争いと同様にヒートアップしているのが各個人のタイトル争い。25日の試合でもチームの戦いのなかに個人の意地が垣間見えるシーンがあった。
マツダスタジアムで行われた広島-DeNAの一戦。マジックを「1」まで減らしている広島は地元で勝って胴上げをめざし、DeNAも勝てば同率ではあるもののCS圏内である3位浮上のチャンス。お互いに負けられない戦いとなった。
そんな中、試合を動かしたのがDeNAの主砲・筒香嘉智。先頭で打席に立った2回、広島先発・中村祐太の速球を逆らわずに弾き返すと、打球はそのまま左中間スタンドへ。今季38号の一発でチームに先制点をもたらした。
この飛球を見送ったのが、広島のセンターを守る丸佳浩。試合前の時点では、筒香と本塁打数で並んでいた男だ。目の前で自身を抜かしていく一発。それも大事な試合の先制弾を見たことで、より一層闘志に火が付いたに違いない。
するとDeNAが3-1とリードを2点に拡げた直後の6回裏、丸がやり返す。DeNA3番手・今永昇太との対決となったこの日の第3打席。追い込まれながらも2球ファウルで粘り、2ボール・2ストライクからの7球目。今永のスライダーがやや内寄りに入ったところを見逃さずにフルスイング。ライトスタンド中断に突き刺さる38号弾で反撃の狼煙を上げ、その後チームは同点に追いついた。
◆ 両リーグ揃って「日本人・40発超え」のキングなら10年ぶり
8月終了時点で、31本塁打で並んでいた両者。9月に入っても共に意識したかのように抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げ、常に2本差以内での争いが続いている。
残り試合もともに「9」。それも現時点での広島・DeNAの最終戦が10月7日(日)マツダスタジアムで行われる直接対決となっており、決着がつかないまま最終戦で直接対決なんてことも可能性として大いにあるのだ。
ちなみに、今年はパ・リーグの方で西武の山川穂高が40超えの44本(9月25日時点)。本塁打王が両リーグ揃って日本人となると、2015年の山田哲人(ヤクルト)・中村剛也(西武)以来で3年ぶりのこと。もし筒香と丸がこのままのペースで競り合って40本塁打超えを達成すれば、両リーグの本塁打王が日本人でかつ40本塁打以上となり、これは2008年の村田修一(横浜)・中村剛也(西武)以来のことになる。
筒香と丸はどこまで本塁打を積み上げ、どちらが本塁打王のタイトルを掴むのか。はたまた勢いに乗っているネフタリ・ソト(DeNA/35本)や、タイトル経験者のウラディミール・バレンティン(ヤクルト/34本)といった第3・第4の刺客が大外から一気に飛んでくる展開もあるのか…。
熾烈なセ・リーグ本塁打王争いから目が離せない。
◆ 筒香と丸・9月の本塁打
▼ 9月5日
・筒香32、33号
・丸 32号
▼ 9月6日
・丸 33、34号
▼ 9月8日
・丸 35号
▼ 9月14日
・筒香34号
▼ 9月15日
・丸 36号
▼ 9月16日
・筒香35号
▼ 9月21日
・筒香36号
▼ 9月22日
・筒香37号
▼ 9月24日
・丸 37号
▼ 9月25日
・筒香38号
・丸 38号