バラバラになった“タナキクマル”
球団史上初となるリーグ3連覇を達成した広島。悲願でもあった本拠地での胴上げも27年ぶりに実現し、残る目標は34年ぶりの日本一。緒方孝市監督も「日本一のゴールに向かってまだ戦いが続きます」と胴上げの直後に語っているように、ここからがスタートと言っても過言ではない。
今季も序盤からセ・リーグ首位を快走。危なげなく走り抜いたようにも見えるが、長いシーズン当然うまくいかないこともあった。なかでも大きな出来事と言えば、強い広島を支えてきた上位打線“タナキクマル”の解散だろう。
帰ってきた「1番・田中」が絶好調
野間が初めて1番に入ったのが8月18日のこと。翌日の試合は相手先発の兼ね合いでスタメンを外れたものの、以降は再び1番でスタメン。するとチームは8月末までの12試合を9勝3敗と一気に加速する。
ところが、優勝へのカウントダウンがはじまった9月はその勢いに陰り。優勝に王手をかけながらも足踏みが続いたように、実は9月の月間成績は9勝11敗と負け越している。そんななか、存在感を発揮しているのが田中広輔だ。
今季は長らく2割台半ばの打率で苦しんでいたものの、9月に入るとここまで月間打率.293と復調気配。特に定位置である1番に戻った9月21日以降の6試合は打率.480と絶好調。優勝を決めた26日のヤクルト戦でも5打数3安打、3得点とトップバッターとしてチームの勝利に大きく貢献している。
その26日の試合を見ても、初回は田中の安打に始まって菊池が犠打、そして丸の適時打で鮮やかに先制。6回も先頭の田中が安打で出塁すると、菊池の犠打が相手の失策を誘い、丸の内野ゴロの間に田中が生還。トドメの7回も田中が適時打を放つと、菊池・丸が連打で続いてダメ押し。やはりこの3人が揃って好調な時の広島は強い、ということをまざまざと見せつけた。
ここ2年届かなかった頂点へ…。紆余曲折を経て再結成された“タナキクマル”が、チームを悲願の日本一に導く使者となる。