プロ6年目での大きな決断
日本ハムの中継ぎとして活躍していた白村明弘が、投手から野手に転向することになった。その白村は「監督の期待に応えたい」と、プロ入り6年目の新たな挑戦に意欲を見せている。
昨シーズンまでの白村は、投手として109試合に登板して6勝5敗2セーブ、15ホールド、防御率3.10という成績を残していたが、昨年は3試合の登板にとどまり、今シーズンからは野手としての道を歩んでいく。日本ハムはパ・リーグということもあり、交流戦を含めても一軍での実戦経験は一度もない。
投手から野手への転向自体はそれほど珍しいことではなく、昨シーズンは、阪神の藤谷洸介が8月30日に野手への転向を発表。ファームでは10試合に出場し、安打も記録した。シーズン終了後には育成契約となり、野手としてまずは支配下入りを目指す。
糸井でも規定到達までに3年
白村と同じ日本ハムでは、かつて糸井嘉男(現・阪神)が同じように投手から野手に転向している。2003年のドラフト会議で日本ハムに入団した糸井だったが、投手としての一軍登板はないまま、プロ入り3年目となる2006年シーズン序盤にコンバートされた。
その年の一軍出場はなく、野手としての初出場は翌2007年が初めて。その後、2009年に初めて規定打席に到達し、打率.306(425ー130)、15本塁打と活躍。その後の活躍は改めて記す必要もないが、糸井ほどの選手でも、06年序盤のコンバートから3年かかって、ようやく規定打席に到達している。コンバートはそれほど珍しい話ではないが、特に投手として数年プレーしてからの転向で結果を出すことは容易ではない。
雄平はブレイクまで4~5年
球界を見渡すと糸井と同じく投手から野手へ転向し、現在レギュラークラスで活躍している選手のひとりが、ヤクルトの雄平だ。雄平の場合は、高卒での入団から7年目となる2009年シーズンの終了後、本格的に野手へと転向している。
その後、2012年には開幕一軍を勝ち取り、一軍初安打も記録。しかし、ケガの影響などもあり、レギュラーの座をつかんだのは転向から5年目を迎えた2014年シーズンだった。打率.316(547-173)、23本塁打とブレイク。翌年には優勝を決める適時打を放つなど、糸井と同じようにチームの主力となり活躍している。今年の6月に35歳となるが、今季も右翼のレギュラー候補筆頭だ。
その他にも、投手として数シーズンを送りながら転向後に主力として活躍した選手には、石井琢朗や宮出隆自(ともに現ヤクルトコーチ)、嶋重宣(現西武コーチ)といった先人がいる。糸井や雄平たちのようにチームの主力として活躍することはできるのか!? 今年27歳となる白村の新たな挑戦にエールを送りたい。
主な転向組の一軍通算成績
▼ 糸井嘉男(日本ハム-オリックス-阪神)
※転向3年目:打率.306(425-130)本塁打15、打点58、盗塁24
・投手 2年:記録なし
・野手13年:1399試合 打率.301 本塁打158 打点655 盗塁288
▼ 雄 平(ヤクルト)
※転向5年目:打率.316(547-173)本塁打23、打点90、盗塁10
・投手7年:144試合 18勝19敗1セーブ17ホールド 防御率4.96
・野手9年:794試合 打率.297 本塁打54 打点321 盗塁34
▼ 石井琢朗(横浜-広島)
※転向2年目:打率.266(414-110)本塁打5、打点36、盗塁24
・投手 3年:28試合 1勝4敗 防御率5.69
・野手21年:2413試合 打率.282 本塁打102 打点670 盗塁358
▼ 嶋 重宣(広島-西武)
※転向6年目:打率.337(561-189)本塁打32、打点84、盗塁6
・投手 4年:2試合 0勝1敗 防御率7.71
・野手15年:1034試合 打率.279 本塁打126 打点421 盗塁22
▼ 宮出隆自(ヤクルト-楽天-ヤクルト)
※転向4年目:打率.320(275-88)本塁打8、打点46、盗塁5
・投手 6年:49試合 6勝5敗 防御率4.73
・野手11年:701試合 打率.277 本塁打39 打点216 盗塁15
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※訂正
初出時の石井琢朗(現コーチ)の成績に誤りがありました。
訂正してお詫びいたします。大変失礼いたしました。
(2019年2月22日18:05)