リーグ戦再開から1週間
プロ野球も開幕から3カ月が過ぎ、あっという間に7月戦線に突入。セ・パ交流戦も終わり、いよいよペナントの折り返し地点となるオールスターが近づいてきた。
交流戦が終わり、リーグ戦が再開してからちょうど1週間。各チームが前半戦のラストスパートを仕掛けようというなか、キーマンとして期待されたのが“交流戦で勢いに乗った”選手たち。今年はたのしみな新星候補が頭角を現しただけでなく、ベテラン勢の奮闘も目立っただけに、彼らの「その後」を取り上げてみたい。
▼ セ・パ交流戦の打撃十傑
.368 荻野貴司(ロッテ)
.368 鈴木大地(ロッテ)
.368 糸井嘉男(阪神)
.349 ビシエド(中日)
.348 松田宣浩(ソフトバンク)
.348 中村剛也(西武)
.346 ブラッシュ(楽天)
.343 大島洋平(中日)
.341 中村悠平(ヤクルト)
※規定到達者のみ
開幕スタメン落ちをバネに…
首位打者の座こそオリックスのルーキーに譲ったものの、その次点で並んだのがロッテの1・2番コンビ。荻野貴司と鈴木大地の2人だ。
荻野は今季でプロ10年目を迎え、年齢も33歳になった。ルーキーイヤーからその快足で大きな注目を浴びたものの、どうしてもケガがちなところがあり、昨年までのキャリアで最多出場は2017年に記録した103試合。レギュラーに定着できる実力は十分に持ち合わせながら、100試合以上に出場したのは2シーズンだけという苦しい戦いになっている。
今季は開幕直後こそゴールデンルーキーの藤原恭大にスタメンの座を譲っていたものの、4月の半ばから1番に定着してここまで68試合に出場。リーグトップの打率.335に、本塁打はすでにキャリア最多の6本をマーク。不動のリードオフマンとしてチームを引っ張っている。
そして、好調・荻野の後ろにハマったのがプロ8年目の鈴木大地。こちらは3年連続で全試合出場を達成している近年のロッテの象徴的な存在であるが、毎年のようにチーム事情からコンバートを繰り返し、今季に至ってはブランドン・レアードの加入によってついに開幕戦を欠場。連続試合出場が「532」でストップするという危機的なスタートになった。
それでも、4月の頭から不調の井上晴哉に代わって一塁での出場を増やしていくと、その後は一塁を中心に左翼や指名打者としてもスタメンに名を連ねるようになり、5月からは2番に定着。今では荻野との1・2番コンビがすっかり定番となっている。
特に印象的だったのが6月16日(日)の中日戦。ロッテは2-7という大量ビハインドで9回裏を迎えるも、先頭で打席に入った鈴木が一発を放って反撃の狼煙を挙げると、あれよあれよという間に1点差に。なおも満塁のチャンスで打席が回った鈴木がライトへの2点適時打を放ち、スコアボードに「6x」を刻む世紀の大逆転サヨナラ勝ちを収めた。
2人はリーグ戦再開後もその打棒に陰りは見せず、荻野は5日の試合で久々に無安打に終わったものの、その前日まで20試合連続で安打をマーク。打率トップを快走している。鈴木も再開後初戦こそ無安打に終わったものの、以降は5試合連続で安打を記録。打率3割をキープしている。
打率リーグトップと5位(※7月5日終了時点)がいきなり並ぶラインナップは相手にとって脅威そのもの。それも荻野には球界屈指の脚力があり、鈴木にはただ打つだけではなく“何でもできる”という強みもある。バッテリーは初回から頭を悩ませること必至だ。
前半戦はこの2人を打つ中軸にやや物足りなさがあったものの、今季から加入して期待通りに中軸を張っているブランドン・レアードが引き続き奮闘を見せ、苦戦した主砲・井上の復調、さらにはリーグ戦に戻って調子上向きの清田育宏に、ケガから帰ってきた角中勝也といったピースが噛み合ってくれば、ロッテが一気に上位争いをかき回すということも十分に考えられる。
前半戦のカモメ軍団を引っ張った1・2番コンビから、引き続き目が離せない。
▼ 荻野貴司
・交流戦成績
18試 打率.368(76-28) 本塁打2 打点10
出塁率.435 長打率.566 OPS1.001
二塁打7 三塁打1 塁打数43 得点13
盗塁6(失敗3) 犠打2 犠飛0
四球7 死球2 三振7 併殺打2
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[シーズン通算] 68試 打率.335(269-90) 本塁打6 打点28 盗塁17
※7月5日終了時点
▼ 鈴木大地
・交流戦成績
18試 打率.368(76-28) 本塁打6 打点17
出塁率.424 長打率.711 OPS1.135
二塁打6 三塁打1 塁打数54 得点13
盗塁1(失敗0) 犠打1 犠飛1
四球8 死球0 三振11 併殺打0
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[シーズン通算] 73試 打率.303(271-82) 本塁打12 打点45 盗塁3
※7月5日終了時点
文=尾崎直也