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崖っぷちの鷹…“不動”のエース・千賀滉大はみたび流れを変える投球を見せられるか

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ソフトバンク・千賀

負けられない9月戦線で開眼


 いよいよ大詰めを迎えているプロ野球の2019年シーズン。パ・リーグは9月に入って首位が交代。昨季リーグ覇者の西武が130試合目にしてソフトバンクを逆転し、残り7試合でマジックは「6」。一歩ずつ、リーグ連覇に向けて歩みを進めている。

 一方、土壇場で逆転を許してしまったソフトバンクは「絶対に負けられない7連戦」が18日からスタート。しかし、初戦を今季11勝の高橋礼に託したものの、本拠地で楽天に敗戦。苦しい船出となってしまった。

 そんななか、連敗阻止をかけて19日のマウンドに登るのがエースの千賀滉大だ。8月17日から30日にかけてまさかの3連敗があったものの、9月6日のロッテ戦で自身初となるノーヒットノーランの偉業を達成すると、133球の熱投から中5日で臨んだ12日の西武戦でも8回1失点の好投で2連勝。9月は2試合・17イニングを投げて21奪三振。失点・自責はわずかに1で、防御率0.53と圧巻の成績を残している。

 プレッシャーがかかる最終盤でも集中力はまったく切らさず、まさに“静かに闘志を燃やす”という表現がぴったり。かつてはマウンド上でいら立ちを露わにするシーンなども見られたが、今や完全にエースの風格を漂わせている。


良くても悪くてもペースを乱さない“不動”の心


 9月の千賀を見ていて特に際立っているのが、何があっても動じない落ち着きぶりだ。

 例えば、ノーヒッターを達成した6日の試合。2-0で9回表を迎えるも、先頭から二者連続で歩かせて無死一・二塁のピンチ。ノーヒッターどころか完封も危機、しかも長打が出れば同点、一発出れば逆転というプレッシャーが一気に押し寄せてくる中、後続を伝家の宝刀・フォークで3連続斬り。最初のアウトも内野ゴロでその間に走者は三塁まで進んだが、それでも自らの代名詞である武器を信じて見事に投げ切った。

 最後の打者・井上晴哉を空振り三振に斬るとさすがに感情を表に出し、捕手の甲斐拓也と抱き合って喜びを爆発させたものの、しばらく間を空けて出てきたお立ち台ではいつものポーカーフェイス。9回のピンチについても、「1本打たれたら、来てくれているファンの方からすごいため息がくると思ったので、それだけは(嫌だ)と思って投げました」とケロっと言ってのけた。


 続けて、中5日で挑んだ西武戦。この首位攻防2連戦はソフトバンクが上位で迎えたものの、ソフトバンクは連敗すると西武に首位の座を奪われるうえにマジック点灯も許してしまうという危機的な状況。それも初戦を西武に強い高橋礼で落とした後という絶体絶命のピンチだったが、千賀は押せ押せの西武打線に対して2試合連続でノーヒッターもあるのでは…と思わせるような完ぺきな投球を披露。8回に1点こそ失ったものの、エースとしての意地を見せてチームの窮地を救っている。

 思い返してみれば、ちょうど1年前の9月はメットライフドームでの西武戦に2度登板して2敗。強力打線の餌食となった悔しい想い出の残る地で、すべての重圧をはねのけてレベルの違う投球を見せつけた。

 登板後は「自分の調子が良いとか悪いとかではなく、絶対に負けないという気持ちでマウンドに上がりました」とコメントには気持ちの強さをにじませながら、試合後のお立ち台ではやはりいつものポーカーフェイスで、第一声は「嬉しいです」の一言。マウンド上では静かに闘志を燃やし、マウンドを降りればいつものマイペース。9月はこの切り替えが異様に目立っている。


 まるでマウンド上とそれ以外が別人格のような冷静さ。絶対に負けられない戦いだからこそ、気持ちを前面に出し過ぎないスタイルが快投を呼び込んでいるのかもしれない。

 ノーヒッター、首位陥落阻止の次はどんな投球を見せてくれるのか。19日の千賀の投球からも目が離せない。


文=尾崎直也
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