大型補強を敢行
ロッテは19日、前楽天のハーマン投手(35)と、FAで移籍した鈴木大地選手の人的補償として小野郁投手(23)を獲得したことを発表した。
今オフ、長年チームを引っ張ってきた福浦和也選手が引退し、鈴木がFA移籍、金銭トレードで涌井秀章投手、人的補償で酒居知史投手が楽天に移籍したが、その不安をかき消すように、ロッテがストーブリーグで積極的な動きを見せている。
楽天から美馬学、ソフトバンクから福田秀平をFAで獲得。これまでFAで、仲田幸司(阪神/1995年)、大村三郎(巨人/2011年)、涌井秀章(西武/2013年)を獲得してきたが、球団史上初めて、同一年度に複数の選手をFAで獲得することになった。
補強はFAだけにはとどまらない。冒頭のハーマンに加え、広島でリーグ3連覇に貢献し、今季は大リーグ・ブリュワーズでプレーしたジャクソン投手、楽天を戦力外となった西巻賢二を獲得するなど、意図の読み取れる明確な補強を見せている。
光る的確補強
松本球団本部長は「今シーズンを戦って何が足りなかったのかというところを分析してやっています。何よりもAクラス争いではなく、優勝争いをするために、的確にやっています」と語る。
今季のロッテは、種市篤暉、岩下大輝、小島和哉、二木康太、佐々木千隼といった若手先発陣の台頭が目立ったが、規定投球回に到達した投手はゼロ。チーム最多は二木康太の128.2回だった。楽天からFAで獲得した美馬は、16年からの4年間で規定投球回に3度到達しており、計算できる投手と言えるだろう。
救援陣は、守護神・益田直也に繋ぐ、セットアッパーを最後まで固定することができなかった。マリーンズのイニング別失点を見ても、8回が87失点と最も多かった。そういった意味でも、日本で実績のあるハーマン、ジャクソンを獲得できたことは非常に大きい。また、23歳と若い小野郁も今季はファームで14セーブを挙げるなど、将来を嘱望されているリリーバーだ。
日本で実績のある外国人リリーフを補強した理由について、松本球団本部長は「(海外での)実績があっても、マウンドやボールに加えて、日本は機動力も使うので、クイックなど、トータル的に(すぐに適応するのは)難しい。そういう意味で、日本での経験があることはすごい強み。ジャクソン、ハーマンは、今年一番の課題だったところなので、日本での経験がある外国人を優先した」と狙いを説明した。
ソフトバンクからFAで加入した福田は、プロ13年間で規定打席到達が一度もないが、井口監督が「三拍子そろった選手」と評するマルチロールであり、過去の成績や数字だけでは測れない魅力を持った選手だ。福田の加入により、今季は減少した盗塁数が改善すれば、得点数アップも期待できる。
テスト入団した西巻は、20歳とまだ若く、楽天では高卒1年目から一軍の試合に出場していた経験もある。平沢大河よりも年下の内野手が安田尚憲しかいなかったことを考えても、不足気味だった若手の内野陣を補強する動きは納得のいくものだ。
来季に向けて的確な補強が光るマリーンズ。松本球団本部長は今後も、来季に向けて補強する考えを示す。また、15年ぶりのリーグ優勝を手にするためにも、補強した選手だけでなく、既存の戦力の底上げも重要になってくる。成長著しい“既存戦力”と、その穴を埋める“補強組”がうまく融合したとき、黄金時代の到来が現実味が帯びてくる。
文=岩下雄太