壊滅状態だった2019年の先発陣
ヤクルトの高津臣吾監督が11日、母校・亜細亜大で行わた「監督就任パーティー」に出席。同大OBの前で新監督しての意気込みを語った。
2015年にリーグ優勝を果たしながらも、4度の最下位含む6度のBクラスに甘んじた2010年代のヤクルト。高津監督は昨年の就任会見で「僕を指名していただいたのは『投手陣を再建する』『新しく作り直す』ことを大きな目的として、声をかけていただいたと思っている』とチーム再建への思いを口にした。
優勝した2015年はチーム防御率3.31をマークしたものの、最下位に転落した翌2016年以降は、投手陣の弱体化が顕著。チーム防御率は4年連続4点台で、現役時代、名クローザーとして名を馳せた新指揮官の手腕に期待が寄せられている。
特に昨季の先発防御率は、12球団ダントツワーストの5.05。エースの小川泰弘はシーズンを通してローテーションを守ったものの、5勝12敗、防御率4.57と大きく負け越した。同じく、開幕ローテに組み込まれたデービッド・ブキャナン(4勝6敗、防御率4.79)、高梨裕稔(5勝7敗、防御率6.23)、原樹理(3勝7敗、防御率4.86)も揃って不調。ベテラン・石川雅規がチームトップの8勝(6敗、防御率3.84)を挙げ、高卒4年目の高橋奎二(4勝6敗、防御率5.76)が経験を積むなど明るい要素もあったが、ローテ崩壊こそが最下位逆戻りへの大きな要因だった。
原、星、大下、清水らの底上げ必須
今オフ、2017、2018年と2シーズン連続で規定投球回をクリアしていたブキャナンが退団。代わりに前オリオールズのガブリエル・イノーアを獲得した。また、育成選手としてソフトバンクに3年間所属し、自由契約になっていた長谷川宙輝を支配下選手として獲得。最速150キロ左腕の大化けに期待が膨らむ。
ドラフトでは、甲子園を沸かせた奥川恭伸(星稜高)の1位確保に成功。2位以下でも吉田大喜(日本体育大)、杉山晃基(創価大)、大西広樹(大阪商業大)の大卒3投手を指名した。また、長らく楽天の正捕手を務めていた嶋基宏、ロイヤルズ時代に遊撃手としてゴールドグラブ賞の受賞実績があるアルシデス・エスコバーを獲得。ディフェンス全体を強化したいという姿勢も見える。
新戦力に期待する一方で、壊滅状態だった先発陣の強化には既存戦力の底上げが必須。特に原、星知弥、大下佑馬、清水昇ら、近年のドラフトで上位指名された大卒・社会人組の奮起に期待したい。
救援陣は実績のある石山泰稚、近藤一樹、五十嵐亮太に加え、昨季チーム最多の68試合に登板した梅野雄吾、来日1年目からブルペン陣を支えたスコット・マクガフと、先発陣に比べ駒は揃っている。
ウラディミール・バレンティンが抜けた新打線も気になるところだが、まずは先発整備が急務のヤクルト。「やること、確認することがたくさんある」と語る指揮官は昨季まで二軍監督を務めていただけに、のちに“高津チルドレン”と称されるであろう、新星の出現にも期待を寄せたい。