今年のテーマも強く振る
今季プロ3年目を迎えるロッテの藤岡裕大。今季に懸ける思いは、強いのではないだろうか。プロ1年目の18年、ショートという過酷なポジションのなか、球団の新人では1997年の小坂誠以来となる全試合出場を果たした。経験を積み、さらなる飛躍が期待された昨季は、故障に苦しんだ。
キャンプ初日に球団から『右足膝窩筋腱炎』と発表されると、開幕には間に合ったものの、5月21日のオリックス戦で右足を負傷し『右大腿二頭筋肉離れ』と診断され離脱。6月14日に一軍復帰したが、7月20日に『右大腿二頭筋損傷(Ⅱ度)』で一軍登録を抹消された。
「下半身の使い方を意識しましたけど、それ以外はタイミングを早く取ろうとかはなかったので、自然体です」。シーズン終盤の9月に打率.353(51-18)、2本塁打、9打点、シーズン最終戦となった9月24日の西武戦では猛打賞をマークした。最後の1カ月は、2020年シーズンに期待のもてる形で終えた。
特に昨シーズン終盤は、反対方向への打撃だけでなく、右方向にも強い当たりが増え、藤岡自身がテーマにおいていた“強く振る”ことができていたようにも見えた。それを踏まえて、「今も強く振ることですね」と今季も引き続き同様のテーマで打撃練習に取り組んでいる。
今季はシーズン通して「(右方向に強い打球が)打てればいいなと思います。自分のタイミングがあえば、強く振れると思います」と自信を見せる。
そのタイミングの取り方についても、春季キャンプの時点で「まだまだですけど、ここからピッチャーと対戦していくので、シーズンまでに『こうした方がいいかな』、『ああした方がいいかな』とか、見つけながらやっていけたらいいかなと思います」と練習試合、オープン戦といった実戦で、自分がしっくりとくる形を見つけていく。
ショートのレギュラー争い
18年にショートで全試合に出場した藤岡だが、昨年は故障で離脱した期間が多く、その間に平沢大河、三木亮といった他の選手も起用された。レギュラー筆頭候補ではあるが、今季も競争に勝ち抜かなければならない立場といえるのではないだろうか。
そんななか、新人のドラフト5位・福田光輝(法政大)が、2月8、9日に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合で、2戦合計8打数5安打、1本塁打、4打点の大暴れ。那覇遠征でも2月14日の広島との練習試合で猛打賞、18日の巨人との練習試合で2点適時打を放つなど、日に日に存在感を高めている。平沢、三木だけでなく、ルーキーの福田光、さらには育成から支配下選手となった茶谷健太と、競争相手が増えた。
ここ2年間、マリーンズでショートを誰よりも多く守った藤岡にも意地がある。
「いつでも競争になると思うので、そのなかでしっかり勝ち抜いて、今年は全試合怪我なく、しっかり戦い抜くことを一番意識してやりたいと思っています」。
「個人的にも結果を残して、そのなかでチームが勝てればより良いんじゃないかなと思います」。
今季こそ、ショートのレギュラー争いに決着をつけ、ポジションを不動のモノにすることができるのか、藤岡にとっては大事な1年となる。
取材・文=岩下雄太