代替指名選手たちの躍動
「本当に離脱している選手が多い中で、若い選手がしっかりと自分の持ち味を出してくれていますし、非常に良いアピールをしてくれていると思います」
ロッテの井口資仁監督が13日の楽天戦後、そう話したように、「感染拡大防止特例2020」によって“代替指名選手”として昇格を果たした若手選手たちが、チームのピンチを自身のチャンスに変えて躍動している。
チームの主軸である井上晴哉の劇的なサヨナラ打で勝利を収めたマリーンズだが、3点ビハインドの6回に生まれた得点は、“昇格組”がお膳立て。このイニング先頭の9番・西巻賢二がヒットで出塁すると、1番・藤原恭大は、3ボール1ストライクからの5球目を一二塁間に引っ張り、チャンスを広げた。ここで2番・髙部瑛斗がきっちりと犠打で走者を進め、続くマーティンの一ゴロ間に三塁走者の西巻が生還した。
直前の6回表には、楽天が犠打で走者を送れず、併殺に倒れてチャンスをフイにしていただけに、昇格組の一連のプレーが流れを引き寄せていくキッカケとなったとも言えるだろう。
躍動する昇格組
藤原は今季初スタメンとなった7日のオリックス戦で、今季初安打と犠打を決めると、9日のソフトバンク戦では先制点の口火を切る内野安打を放つなどプロ初猛打賞の活躍。翌10日のソフトバンク戦では、追い込まれてから東浜巨が投じた外角の変化球にうまくバットに合わせる技ありの適時打を放った。11日のソフトバンク戦は無安打ながら、しっかり四球を選び、昇格後出場した5試合すべてで出塁を果たしている。
9日のソフトバンク戦で高橋礼からプロ初安打を放ったルーキーの髙部は、13日の楽天戦に『2番・指名打者』でスタメン出場し、前述の犠打に加え、1点差に迫って迎えた8回一死二塁の場面では進塁打を放つなど、得点に繋がる打撃を披露して「2番」としての役割をしっかり果たした。
昇格してから2試合はベンチスタートだった西巻も、9日のソフトバンク戦で移籍後初スタメンを飾ると、同試合で移籍後初安打をマーク。現在4試合連続安打中だ。その他にも、11日のソフトバンク戦では、和田毅に簡単に追い込まれながら9球粘った末に四球を選ぶなど、上位に繋ぐ“9番打者”として、存在感を示している。
リーグ優勝を争う大事な試合が続く中で、なんとか一軍に生き残ろうと必死にアピールを続ける若手選手たち。今季のマリーンズは、4番を任されるようになった安田尚憲、チームトップの21盗塁を記録する和田康士朗をはじめ、昨年までロッテ浦和球場で一軍を目指し、必死に汗を流していた若手選手たちの奮闘が目立つ。若手選手たちの躍動が、チーム力の底上げにつながっていることは間違いない。
文=岩下雄太