関西大・久保田拓真選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

◆ 若手捕手不足の球団は注目

 “運命の一日”まで、ついに1週間を切った。

 今年のプロ野球・ドラフト会議は10月11日(月)に行われる。

 高校野球の夏が終わり、季節は大学野球の秋へ。また、今年は都市対抗野球が11月に開催されるため、大舞台への出場権をかけた予選がドラフト候補にとっての最後のアピールの場にもなっている。

 プロアマ野球研究所では、目前に迫ってきたドラフト会議当日まで、なるべく数多くの選手を紹介していきたい。

 今回は、関西の大学球界を代表する強打の捕手を取り上げる。

▼ 久保田拓真(関西大)
・捕手
・182センチ/92キロ
・右投右打
・津田学園高

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.57秒
二塁到達:8.68秒

<イニング間のセカンド送球ベストタイム>
1.93秒

◆ 打力が成長!

 関西大と言えば、以前にもコラムで取り上げた強打の遊撃手・野口智哉が大きな注目を集めているが、もうひとり有力なドラフト候補がいる。“打てる捕手”としてチームを引っ張る久保田拓真だ。

 津田学園高時代は3年夏に甲子園にも出場。初戦の藤枝明誠戦で3安打を放つ活躍を見せた。

 関西大に進学後は、2年から正捕手に定着すると、その年の秋の明治神宮大会に出場。準決勝の東海大戦で2安打・3打点とここでも結果を残し、チームの準優勝に大きく貢献している。

 高校時代はどちらかといえば強肩と高い守備力が目立つ存在だったが、大学に入ると打撃面が大きく成長。明治神宮大会出場を果たした2年秋には打率3割もマークした。

 そして、この春には長打力もさらに向上。3試合連続本塁打を放つなど、11試合で15打点と中軸として申し分ない成績を残したのだ。

◆ 捕手以外も守れる魅力

 そんな久保田の最終シーズンの状態を確認すべく、9月5日に行われた立命館大との試合に足を運んだ。

 この試合では、久保田は本職の捕手ではなく、三塁手として出場。来年以降の正捕手候補である有馬諒(2年・近江)に経験を積ませるという意味合いもあるが、打撃を生かして捕手以外も守れるというところをアピールするという狙いが感じられた。

 サードの守備は、ファウルフライをひとつさばいただけでゴロを処理する機会はなかったものの、シートノックを見る限りでは急造サードという感じはせず、無難に対応していた。

 特に、強肩を生かしたスローイングは迫力があり、しっかり鍛えれば内野でも勝負できるだけの能力はありそうだ。

 一方のバッティングはこの日は5打数無安打と結果を残すことはできなかったが、スイングの強さは際立っていた。

 下半身が安定しており、しっかりボールを呼び込んで打つことができるので、緩い変化球にも大きく体勢を崩されることがない。

 これに加えて、速いボールに対してしっかりと反応ができ、差し込まれないだけのヘッドスピードの速さもある。第4打席の左飛、第5打席の左直は、いずれももう少しで長打という雰囲気を感じさせる打球だった。

 今年の大学生と社会人を含めたドラフト候補の捕手では古賀悠斗(中央大)が高い評価を得ており、頭ひとつリードしている印象を受けるが、久保田も打撃では負けていないだけのスケールを備えている。

 また、本業以外のポジションにチャレンジして、スカウト陣にアピールしようという姿勢にも好感が持てた。大型で打力のある捕手は貴重なだけに、若手捕手が不足している球団には非常に魅力的な選手ではないだろうか。

☆記事提供:プロアマ野球研究所




BASEBALL KINGの配信番組にも出演している西尾典文を主任研究員とし、ドラフト情報を中心にプロ野球、アマチュア野球に関する記事を配信する野球専門ニュースサイト。ドラフト候補に関する各種データも充実している。

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西尾典文

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