シーズン最終盤に…
17年から2年連続で80敗以上を喫しながら、直近2年は連続で2位と成長した姿を見せるロッテ。その一方で、20年、21年とリーグ優勝に手が届きそうな戦いを見せながらも、勝ちきれなかったというのも事実もある。
▼ 2020年
▼ 2021年
10月:9勝10敗2分
20年は8月(16勝8敗2分)と9月(15勝11敗)は勝ち越し、いずれも月別ではリーグトップの成績を残し、10月9日のソフトバンク戦との“首位攻防”の初戦に勝利した。10月9日終了時点で首位・ソフトバンクとゲーム差「0.0」と優勝争いを演じていたが、打線の不振が響き、黒星が先行しリーグ優勝を逃した。
「この1点を、つかみ取る。」をチームスローガンに掲げリーグ制覇を目指した21年は、一時は2位だったオリックスに4ゲーム差をつけ、1勝すれば優勝マジックが点灯する9月28日からの2位・オリックスとの3連戦で3連敗。
それでも、10月に2位ながら1970年以来51年ぶりとなる優勝マジックを点灯させ、優勝マジックを「3」まで減らしたが、オリックスが最終戦となった10月25日の楽天戦に勝利し、ロッテはソフトバンクに7-15と大敗。これでロッテは優勝するために残り3試合を3勝、もしくは2勝1分で終えなければいけない状況になった。もう1敗も許されない10月27日の楽天戦に1-2で敗れた。
シーズン終盤に低調な打線
大事なシーズン終盤に勝ち切るために“打線”の奮起を促したい。
20年は10・11月のチーム打率がリーグワーストの.213、93得点。100得点に届かなかったチームは、パ・リーグの球団ではロッテだけだった。そして、昨季も10月のチーム打率が.212、60得点。2年連続でシーズン最終盤のチーム打率が、2割台前半では厳しい。
個人の10月の月間打率を見ると、昨季は藤岡裕大が.130、マーティンが.145、レアードが.210、主力で.250を越えていたのは荻野貴司の.275だけ。チーム全体を見ても、打っていたのは10月10日の日本ハム戦で2点を追う9回に値千金の同点弾、10月15日のソフトバンク戦でサヨナラ2ランを放つなど、月間打率.302だった岡大海、シーズン最終戦にプロ初の猛打賞を達成した山口航輝の2人。
いくら1本の安打で、“1つ先の塁”を狙った走塁を見せたとしても、肝心の打線の軸となる主力に当たりが止まれば、点は取れなくなるし、武器である足を活かすことはできない。
選手の好不調の波が時期によって異なれば、ある程度の得点力は維持できる。昨季でいえば前半戦は、それができていた。春先はレアードに元気がなかったが、安田尚憲がリーグトップの打点数を挙げるなど、レアードの不振を感じさせない働きを見せた。安田の当たりがとまると、レアードがランナーを還していた。前半戦だけでなく、シーズン通して、誰かが当たりが止まったときに、カバーできるような打線を構築して欲しい。
ここ2年は僅差のゲームが多く、どうしても1点を逃げ切る試合が多い。開幕からリリーフ陣の登板管理をしていたとはいえ、3点差以内の試合が多く、昨季も守護神・益田直也は後半戦だけで5度3連投があった。リリーフ陣の負担を減らすためにも、早い回から得点を奪い主導権を握る展開に持ち込みたい。
課題の9月、10月を乗り越え、今季こそ1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を勝ち取りたい。
文=岩下雄太