昨季の三塁と遊撃事情を振り返る
エチェバリア、藤岡裕大、安田尚憲。
ロッテの三塁と遊撃の争いは今季もシーズン通して熾烈になりそうだ。昨季は三塁・安田、遊撃・鳥谷敬氏で開幕を迎えたが、開幕直後に途中出場から結果を残した藤岡が遊撃のレギュラーで出場し、三塁の安田は開幕直後リーグトップの打点数を誇った。5月以降は、三塁・安田、遊撃・藤岡、三塁・藤岡、遊撃・エチェバリアと3人の状態に合わせ流動的に起用されたが、シーズン最終盤は三塁・藤岡、遊撃・エチェバリアのスタメンが多かった。
昨年は藤岡が規定打席に到達したものの、シーズン最終盤に打撃の状態が上がらなかった安田、シーズン途中に故障による離脱もあったエチェバリアは規定打席に届かなかった。
▼ 昨季三塁・遊撃スタメン出場者
【三塁】
安田尚憲 88試合
藤岡裕大 50試合
鳥谷 敬 4試合
レアード 1試合
【遊撃】
藤岡裕大 79試合
エチェバリア 55試合
鳥谷 敬 8試合
小川龍成 1試合
▼ 藤岡、エチェバリア、安田の昨季打撃成績
藤岡裕大 137試 率.255(432-110)本3 点37 盗10 出塁率.320
エチェバリア 79試 率.203(207-42)本4 点24 盗0 出塁率.222
安田尚憲 115試 率.242(351-85)本8 点55 盗0 出塁率.323
昨季は“打てる選手”を起用
三塁、遊撃ともに、ある程度“打てる選手”が積極的に起用されそうだ。昨季の安田、藤岡を例にすれば、20年まで3年連続遊撃でチーム最多出場だった藤岡は、昨季はオープン戦で打率.185とインパクトを残す活躍ができず開幕直後ベンチスタートが続いた。途中出場した4月2日の日本ハム戦でマルチ安打、4月7日のオリックス戦で第1号本塁打を放ち、翌8日のオリックス戦から先発出場し同試合で2安打。この試合をきっかけに再び先発での出場機会を増やした。
一方、安田は打率こそ4月終了時点で.211だったが、リーグトップの29打点をマークし4番の役割を果たす。交流戦以降は状態の良いときはスタメン出場していたが、なかなか安打が出なかった9月以降はベンチを温めることが多かった。
また、打率.203だったエチェバリアも、スタメンで起用された9月29日のオリックス戦から10月9日の日本ハム戦にかけて9試合連続安打を放っている。遊撃の守備から途中出場した楽天とのクライマックスシリーズ第1戦では、1点を追う8回に打った瞬間にそれとわかる同点弾を放つと、翌第2戦は『5番・遊撃』で出場した。守備力の高いエチェバリアも藤岡、安田が打っていれば、ベンチスタートの日もあった。
藤岡、安田、エチェバリアに限らず、練習試合、オープン戦で彼らよりも打ってアピールができれば、開幕一軍、開幕スタメンを掴むことは十分にありえる。昨季遊撃の開幕スタメンを掴んだ鳥谷氏は開幕前最後の練習試合となったDeNA戦で途中出場から1安打と、オープン戦、練習試合で好結果を残した。
即戦力として期待されるドラフト2位の池田来翔(国士舘大)は、“打って”結果を残すことができれば、二塁だけでなく三塁も守ることができ、三塁でスタメンということもあるかもしれない。小川龍成、平沢大河は三塁と遊撃の両方を守れ、小川は守備力が高く、足も速い。練習試合、オープン戦で打てることを証明できれば、一気にレギュラーを掴み取る可能性を秘めている。レギュラーや開幕一軍を目指す選手たちは、結果を残し続けなければならないという難しさはあるが、そこを乗り越えれば、スタメンで出るチャンスはあるということだ。
今季もロッテの三塁と遊撃は藤岡、エチェバリア、安田の3人を中心とした競争になっていくのかーー、それとも新たにポジションを奪う存在が出てくるのかーー。春季キャンプ、練習試合、オープン戦、そしてシーズンが始まってからも高いレベルでの競争に期待したい。
文=岩下雄太