逆転でのCS進出へ投手陣総動員で臨んでいる阪神 (C) Kyodo News

◆ 逆転CSへ“総力戦”

 虎のストロングポイントが、今こそ発揮される。

 レギュラーシーズンは最終盤に突入。3位をキープしてきたタイガースは、21日のカープ戦に敗れてついに5位まで転落。状況は厳しいものの、逆転でのクライマックスシリーズ進出へ1試合も落とせない戦いが続く。

 ポストシーズンはまだ先でも、1勝の価値とそれを取りこぼした時の大きさを考えればすでに”短期決戦”の様相で、起用法もなりふり構ってはいられない。

 その意味では、23日にマツダスタジアムでもぎ取った白星の持つ意味は小さくなかった。

◆ 藤浪のブルペン待機がズバリ

 先発の才木浩人は4点の援護をもらった初回に1点を失ったものの、2回からの2イニングは走者を出しながら要所を締めて粘投。

 トミー・ジョン手術明けを考慮されて中10日以上の間隔を空けての起用が続いており、この夜もまだ余力はあったはずだが、矢野燿大監督は勝利投手の権利を手にする前に右腕の降板を決断した。

 勝負の継投はうなずけた。だが、左打者が並ぶ打順で、4回に2番手で送り込まれた左腕の島本浩也が松山竜平に2ランを被弾し2点差。得点の奪い合いで流れが二転三転する中、3番手のマウンドにはブルペン待機していた藤浪晋太郎が上がった。

 最初は抜け球が目立ったものの、その後は乱れることなく任された2イニングを無失点。6回に2点を追加したタイガースがそのまま逃げ切った。

 矢野監督も「晋太郎がいてくれたから(流れを)止められた」と称賛。先発から配置転換していた“ビッグピース”が効いた勝利だった。

◆ まさに“鉄壁”の投手陣

 この日はセーブやホールドが付かない4点差でも、カイル・ケラーと湯浅京己、そして岩崎優の勝ちパターンを7回から投入。

 藤浪も「準備は一応します」と意気込んだように、残り3試合は同様の“特攻”起用が継続されるだろう。

 勝ちパターン以外のメンバーを見渡しても、浜地真澄と岩貞祐太はともに50試合登板を越えており、浜地は依然として防御率1点台をキープ。誰を送り込んでも遜色はない。

 防御率はチーム全体・先発・リリーフに分けてもすべてリーグトップ。鉄壁のブルペン陣を最大限に生かす時がやってきた。

 その分、巨人・戸郷翔征と最多勝を争っている青柳晃洋や、2年連続の2ケタ勝利がかかっている伊藤将司であっても、状態次第では早期降板も考えられる。

 春先から投手陣をけん引してきた青柳も「(タイトルは)終わった時に取れてたらうれしいな……ぐらいの感じ。是が非でも、だから5回まで絶対投げさせろとかはなく、チームがCSに行く可能性があるのであれば、その試合を勝てるピッチャーが投げた方がいい。そういう所は監督に任せて(自分は)やりたい」とチームの勝利最優先の考えを強調する。

 泣いても笑っても残り3試合。その先の戦いが待っているのか、それとも終幕を迎えるのか。猛虎の底力が試される。

文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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