柿沼が見た前回登板の種市
ロッテの柿沼友哉は、2019年に種市篤暉とバッテリーを組み“柿の種バッテリー”で話題を呼んだが、今季も7月以降は種市が先発した試合は全試合でマスクを被り、6勝3敗(チーム成績)と相性の良さを発揮する。すっかり“柿の種バッテリー”が定着してきた。
種市は前回登板の9月2日の楽天戦、4回に浅村栄斗に対していつもより曲がりの小さいスライダーで遊ゴロに打ち取ったりするなど、スライダーの曲がりがいつもより小さく速い球を投げているように見えた。キャッチャーの柿沼に確認すると「あの試合はスライダーを種市もいつもより速く投げるイメージで投げていました。僕も小さいなと思って、ベンチ裏に行って確認すると、ちょっと速いイメージで投げましたと言っていました」と明かした。
種市は前回登板7奪三振中4奪三振がフォークで奪ったもの。ここ最近はストレート、スライダーでの三振が多かったが、追い込んでから種市本来のストライクゾーンからボールゾーンに落ちるフォークで三振が奪えていた。柿沼は種市のフォークについて「この間はすごく良かったと思います」と評価しながらも、「こればっかり落ちるかはその日の風とか調子で変わってきますね」と話した。
種市登板時にマスク
種市が投げる試合チームを勝利に繋げることができているが、柿沼本人は、種市が先発する日以外は出番がないのが現状。最後に試合に出場したのは9月2日の楽天戦で、種市が先発した時だ。
「種市が先発の時が出番なので、出た時くらいは勝たないという気持ちですね。毎日出ていたら明日取り返そう、また次取り返そうとなりますけど、先発ピッチャーと一緒で出たらまた1週間後、その先ってなってくるので、その試合で勝たないと、という思いはいつもより強いですね」。
これまでベンチスタートの時は試合中、ベンチでスタメン捕手のリードと、自分のリードの擦り合わせを行ってきたが、「その時気づいたこと、自分が組んだらこうした方がいいのかなとか、これ真似した方がいいな、これいけるなとか、それは変わらないですね」と、変わらず行っている。
気になるのは試合勘の部分。「難しい部分がありますけど、それは言い訳になってしまう。いつ出るかわからない、むしろ先発週1回、ありがたいことに種市が先発の時は組ませてもらっているので、そこは難しいですけど、それを言い訳にしてはいけない。やっている以上は関係なく出たら一緒です」。
これまでシーズン最終盤に、故障での離脱、出番を減らすことが多かった。楽天とCS進出を争った19年はシーズン最終盤の9月に左尺骨折で離脱し、20年は澤村拓一と9月の月間最優秀バッテリー賞に輝くなど16試合に出場したが、10月以降は5試合の出場にとどまった。21年も7月に故障で離脱し、10月に復帰したが3試合の出場に終わった。
今季は6月23日に一軍昇格してから帯同している。「よく怪我したり離脱することが多かった。今年はそのぶん、前半ファームが長かったので、それを今取り返すつもりでもっと頑張らないといけなきゃないなと思います」。
残り試合で「チームが少しでも上の順位に行けるために自分は何ができるか、出た時に勝ちに貢献できるか、変わらずいつも通りやっていきたいと思います」と活躍することを誓った。
取材・文=岩下雄太