CSファイナルステージ第4戦
○ オリックス 3 - 2 ロッテ ●
<10月21日・京セラD大阪>
ロッテはオリックスとの「2023 パーソルクライマックスシリーズ パ」ファイナルステージの第4戦に2-3で敗れ、対戦成績が1勝4敗となり、2010年以来となる日本シリーズ進出を逃すとともに、2023年の戦いが終わった。
9月28日の日本ハム戦以来の先発となった種市篤暉は初回、森友哉に2ランを浴びたが、2回と3回は無失点に抑え、3回・54球、2安打、4奪三振、2失点でマウンドを降りる。降板後、種市は球団を通じて「ここ数試合中継ぎの登板が多く、苦しい中で3イニングしか投げる事が出来ず、申し訳ないですし、負けられない試合で先に向こうに流れを渡してしまった事も反省点です」と悔しがった。
打線もオリックス先発・宮城大弥の前に5回まで3安打無得点。0-2の6回に先頭の荻野貴司が二塁打で出塁し、続く藤岡裕大の遊ゴロで三塁へ進み、一死三塁と好機を作ったが、石川慎吾が三ゴロ、ポランコが空振り三振で得点できず。その裏、5回からマウンドに上がっていた森遼大朗が杉本裕太郎に適時二塁打を打たれ、痛すぎる3点目。8回に藤原恭大が「いい形で入ってくれて良かったです」と山﨑颯一郎から一発、1-3の9回にポランコが守護神・平野佳寿から一発を放ったが、それぞれイニングの先頭ということもありソロ本塁打、2-3で敗れた。厳しい言い方になるが、追いつきそうで追いつかない、今年のロッテを象徴するような敗戦だった。
試合前までに3位だったロッテが10月10日のシーズン最終戦となった楽天戦に勝利し2位に入り、クライマックスシリーズでは1勝1敗で迎えた3位・ソフトバンクとの第3戦、3点を追う延長10回裏に、藤岡裕大の値千金の同点3ラン、安田尚憲の適時二塁打で4点を奪いサヨナラ勝ち。ファイナルステージでも第2戦に1点を追う9回に安田の適時二塁打、山口の犠飛で逆転し、6-5で勝利するなど、シーズン最終盤から劇的な勝利を何度も見せた。チームとしての成長を感じた1年でもあった。
ただ、ここ数年チームとして課題にしている安定感という部分を克服することができなかった。最大13あった貯金は8、9月の失速で一時借金生活に陥るなど、最終的には貯金「2」。リーグ3連覇したオリックスとのゲーム差は「15.5」だった。故障者が相次いだ中、前半戦は6回終了時点にリードしている試合は31勝2敗、チーム失策数がリーグで3番目に少ない31と、投手陣を中心に守り勝ってきたが、8月の1カ月だけで26失策と守備に綻びが出た。
日程面でも、前半戦は6連戦が交流戦以外では、雨天中止などもあった関係で、リーグ戦期間中の6連戦(4月18日日本ハム〜4月23日のソフトバンク戦)は1度しかなく、先発陣はゆとりのあるローテションが組め、戦いやすい日程となっていたが、8月1日の日本ハム戦から5週連続で6連戦、9月中旬以降は土曜日からの変則的な6連戦が2週連続で組まれ、そこに対応しきれなかったのも失速の原因の一つ。
先発陣も小島和哉が3年連続規定投球回に到達し、2年ぶりの2桁10勝を挙げ、種市篤暉も自身初の10勝、西野勇士も間隔を空けながら先発して8勝したが、シーズン最終盤に先発陣の駒不足気味になり、CSでブルペンデーで戦わざるを得なかった。ローテーション投手の離脱が痛かったのもそうだが、ファームに離脱者の穴を埋める投手がほとんどいなかったのも痛かった。本前郁也はファームで規定投球回に到達したが、防御率が4.15。6月までファームの防御率は2.04だったが、7月以降の防御率は6.75と低迷した。ファームで先発していた菊地吏玖、唐川侑己、中森俊介、森遼大朗も一軍で投げたが、中森、森などはシーズン終盤、一軍でリリーフ要員だった。故障者が多かったとはいえ、選手層が厚いようで薄い、薄いようで厚い、どちらともとれる印象の投手陣だった。
打線は藤岡裕大、岡大海、角中勝也、シーズン途中加入の石川慎吾といった中堅、ベテラン選手の活躍が目立った一方で、一本立ちが期待された安田、山口は規定打席に到達したものの、完全にレギュラーを奪ったかと言われると疑問符が残る。それは藤原恭大、佐藤都志也にも言えること。今年も瞬間的に爆発的な活躍を見せた若手が安田を含めて何人かいたが、シーズン通して安定という部分に関しては、またも来季以降に持ち越しとなった。ただ和田康士朗、茶谷健太は与えられたチャンスにバットでアピールし、茶谷は初めてシーズン通して一軍でプレー。茶谷は内野全ポジション守れ、オリックスとのCS第4戦では中村奨吾に代わってセカンドで先発出場しマルチ安打と、攻守に内野のレギュラー陣を脅かす存在になってきた。
投手も野手も全く育っていないわけではない。安田、山口、藤原らは昨年終盤の期待値からすれば物足りなく映っているだけで、投手に比べて野手はレギュラーで活躍するのにある程度の時間を要することを考えれば、打線に軸となる選手がほとんどいない中でよくやっている。投手陣の軸は小島、種市と出てきた。あとは安田、山口、藤原が来季、野手の中心選手になれれば、チームとしての安定感も出てくるだろう。
現実に向き合えば、チームとしての安定感、若手野手の1本立ち、貧打、夏場以降の戦いなど課題は山積み。その課題も去年から持ち越されたものが多く、チームとして本気でそこを改善していかないと来年も同じことが繰り返されることになる。課題点ばかり述べてしまったが、シーズン途中の的確なトレード補強、球団としてはこれまでの反省点を踏まえて近年は育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団として管理し、若手選手たちを“一人前”に育てよう、球団として明確な育成ビジョンを持って取り組んでいる。今年勝っていれば、的確補強、育成の部分に関しても高く評価されていたのだろう。“Vision2025”を実現するために残された時間は少ない。来季こそ勝率1位でリーグ優勝したい。
文=岩下雄太
○ オリックス 3 - 2 ロッテ ●
<10月21日・京セラD大阪>
ロッテはオリックスとの「2023 パーソルクライマックスシリーズ パ」ファイナルステージの第4戦に2-3で敗れ、対戦成績が1勝4敗となり、2010年以来となる日本シリーズ進出を逃すとともに、2023年の戦いが終わった。
9月28日の日本ハム戦以来の先発となった種市篤暉は初回、森友哉に2ランを浴びたが、2回と3回は無失点に抑え、3回・54球、2安打、4奪三振、2失点でマウンドを降りる。降板後、種市は球団を通じて「ここ数試合中継ぎの登板が多く、苦しい中で3イニングしか投げる事が出来ず、申し訳ないですし、負けられない試合で先に向こうに流れを渡してしまった事も反省点です」と悔しがった。
打線もオリックス先発・宮城大弥の前に5回まで3安打無得点。0-2の6回に先頭の荻野貴司が二塁打で出塁し、続く藤岡裕大の遊ゴロで三塁へ進み、一死三塁と好機を作ったが、石川慎吾が三ゴロ、ポランコが空振り三振で得点できず。その裏、5回からマウンドに上がっていた森遼大朗が杉本裕太郎に適時二塁打を打たれ、痛すぎる3点目。8回に藤原恭大が「いい形で入ってくれて良かったです」と山﨑颯一郎から一発、1-3の9回にポランコが守護神・平野佳寿から一発を放ったが、それぞれイニングの先頭ということもありソロ本塁打、2-3で敗れた。厳しい言い方になるが、追いつきそうで追いつかない、今年のロッテを象徴するような敗戦だった。
今季もチームとして残った課題
試合前までに3位だったロッテが10月10日のシーズン最終戦となった楽天戦に勝利し2位に入り、クライマックスシリーズでは1勝1敗で迎えた3位・ソフトバンクとの第3戦、3点を追う延長10回裏に、藤岡裕大の値千金の同点3ラン、安田尚憲の適時二塁打で4点を奪いサヨナラ勝ち。ファイナルステージでも第2戦に1点を追う9回に安田の適時二塁打、山口の犠飛で逆転し、6-5で勝利するなど、シーズン最終盤から劇的な勝利を何度も見せた。チームとしての成長を感じた1年でもあった。
ただ、ここ数年チームとして課題にしている安定感という部分を克服することができなかった。最大13あった貯金は8、9月の失速で一時借金生活に陥るなど、最終的には貯金「2」。リーグ3連覇したオリックスとのゲーム差は「15.5」だった。故障者が相次いだ中、前半戦は6回終了時点にリードしている試合は31勝2敗、チーム失策数がリーグで3番目に少ない31と、投手陣を中心に守り勝ってきたが、8月の1カ月だけで26失策と守備に綻びが出た。
日程面でも、前半戦は6連戦が交流戦以外では、雨天中止などもあった関係で、リーグ戦期間中の6連戦(4月18日日本ハム〜4月23日のソフトバンク戦)は1度しかなく、先発陣はゆとりのあるローテションが組め、戦いやすい日程となっていたが、8月1日の日本ハム戦から5週連続で6連戦、9月中旬以降は土曜日からの変則的な6連戦が2週連続で組まれ、そこに対応しきれなかったのも失速の原因の一つ。
先発陣も小島和哉が3年連続規定投球回に到達し、2年ぶりの2桁10勝を挙げ、種市篤暉も自身初の10勝、西野勇士も間隔を空けながら先発して8勝したが、シーズン最終盤に先発陣の駒不足気味になり、CSでブルペンデーで戦わざるを得なかった。ローテーション投手の離脱が痛かったのもそうだが、ファームに離脱者の穴を埋める投手がほとんどいなかったのも痛かった。本前郁也はファームで規定投球回に到達したが、防御率が4.15。6月までファームの防御率は2.04だったが、7月以降の防御率は6.75と低迷した。ファームで先発していた菊地吏玖、唐川侑己、中森俊介、森遼大朗も一軍で投げたが、中森、森などはシーズン終盤、一軍でリリーフ要員だった。故障者が多かったとはいえ、選手層が厚いようで薄い、薄いようで厚い、どちらともとれる印象の投手陣だった。
打線は藤岡裕大、岡大海、角中勝也、シーズン途中加入の石川慎吾といった中堅、ベテラン選手の活躍が目立った一方で、一本立ちが期待された安田、山口は規定打席に到達したものの、完全にレギュラーを奪ったかと言われると疑問符が残る。それは藤原恭大、佐藤都志也にも言えること。今年も瞬間的に爆発的な活躍を見せた若手が安田を含めて何人かいたが、シーズン通して安定という部分に関しては、またも来季以降に持ち越しとなった。ただ和田康士朗、茶谷健太は与えられたチャンスにバットでアピールし、茶谷は初めてシーズン通して一軍でプレー。茶谷は内野全ポジション守れ、オリックスとのCS第4戦では中村奨吾に代わってセカンドで先発出場しマルチ安打と、攻守に内野のレギュラー陣を脅かす存在になってきた。
投手も野手も全く育っていないわけではない。安田、山口、藤原らは昨年終盤の期待値からすれば物足りなく映っているだけで、投手に比べて野手はレギュラーで活躍するのにある程度の時間を要することを考えれば、打線に軸となる選手がほとんどいない中でよくやっている。投手陣の軸は小島、種市と出てきた。あとは安田、山口、藤原が来季、野手の中心選手になれれば、チームとしての安定感も出てくるだろう。
現実に向き合えば、チームとしての安定感、若手野手の1本立ち、貧打、夏場以降の戦いなど課題は山積み。その課題も去年から持ち越されたものが多く、チームとして本気でそこを改善していかないと来年も同じことが繰り返されることになる。課題点ばかり述べてしまったが、シーズン途中の的確なトレード補強、球団としてはこれまでの反省点を踏まえて近年は育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団として管理し、若手選手たちを“一人前”に育てよう、球団として明確な育成ビジョンを持って取り組んでいる。今年勝っていれば、的確補強、育成の部分に関しても高く評価されていたのだろう。“Vision2025”を実現するために残された時間は少ない。来季こそ勝率1位でリーグ優勝したい。
文=岩下雄太