再昇格後は無失点投球
「もっと力になれるように頑張っていけたらなと思います」。
ロッテの吉田凌は7月27日に再昇格後、3試合・4イニングを投げて、2被安打、4奪三振、1与四球、防御率0.00に抑えている。
吉田は石垣島春季キャンプの取材でも、「実戦入ってずっと抑えることが1番のアピールだと思うので、そこを意識していきたい」と話していたが、「それがいちばんのアピールだと思います」とその考えは変わらない。
吉田は昨年のオフにオリックスから戦力外通告を受け、今季育成選手として加入。5月31日に支配下選手登録を勝ち取ると、6月2日の阪神戦で「とても緊張しましたが、ゼロで抑えることができてホッとしました」と移籍後初登板を果たした。6月5日に一軍登録抹消された後、ファームで10試合・10回2/3を投げ、6被安打、15奪三振、防御率3.38の成績で7月27日に再昇格。
再昇格後初登板となった7月31日の西武戦、6-2の9回に登板し1イニングを3人で片付けた。二死走者なしからガルシアに対し、1ボール1ストライクから投じた3球目の外角のシュートで追い込み、最後は130キロのスライダーで空振り三振に奪ったのは見事だった。本人は「いつも通りかなと。悪くなかったかなと感じですね」と振り返った。
8月3日には昨季までプレーしていた敵地・京セラD大阪でのオリックス戦に登板し、「ゼロで抑えることしか考えていなかったので、抑えられた良かったです」と、1回を無失点に抑えた。
8月6日のソフトバンク戦では2イニングを投げ1被安打、2奪三振、無失点。「任されたところをやるだけなので、はい」と、1イニングだけでなく、ロングリリーフでもチームのために腕を振る。
ファンの声援
ファンの応援も吉田の投球を後押ししている。「いつも三塁側から見ていて、すごい声援やなと見ていて思っていましたし、いざ自分が受けてみて背中からすごい声援を送ってもらえるのでありがたいなと思います」。マウンドに上がる時のコールを力に変えている。「純粋にすごいなと思います。声量がすごいので、はい」と、熱いマリーンズファンに感謝した。
ただ、移籍後初登板となった6月2日の阪神戦は「ちょっとその時は、緊張していたので何も考えずに投げたという感じです」と、自分の投球に必死だったという。それでも、マリーンズファンの声援が大きな力になっていることは間違いない。
オリックスでの優勝経験
現在首位・ソフトバンクと11ゲーム差の2位のロッテ。吉田は昨季までリーグ3連覇のオリックスに所属していた。優勝していたチームのこの時期の雰囲気について聞いてみると、「一戦一戦負けられない試合が多かった。ぶっちぎりで優勝したこともなかなかなかったので、本当に負けられない試合ばかりだった。いい緊張感でやっていたのは覚えています」と教えてくれた。
それを踏まえ、今のマリーンズのチームの雰囲気はどう感じているのだろうかーー。吉田は「毎年優勝争いしていたイメージしかない」とし、「ここにきて1年なのでなんとも言えないですけど、本当に良いチームだなと思います」と話した。
リーグ優勝へ向け負けられない戦いが続く。その中で吉田は「一戦一戦、痺れる試合が増えていくので、勝利に貢献できるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。昨季も夏場以降に昇格した澤田圭佑がブルペンに欠かせない存在になった例もある。吉田もこの夏、自分の役割をしっかりとこなし、数多く勝利に貢献していきたい。
取材・文=岩下雄太