「いつ出てもいいように準備して、準備だけは怠らないようにしようかなと思っていたので、今年は1年にかける思いが強かった」。
ロッテの大下誠一郎は今季、出場試合数が昨季の23試合から22試合に減少したが、シーズン通して一軍で戦い抜いた。
今季にかける思いが強かったのには理由がある。「今年1月7日に親父を亡くして、より一層ちゃんとやらなあかんなという思いでずっとやっていた。親父が亡くなったからちゃんとやろうではなくて、“いつもよりやってやろう”と思うようになったというのが正直なところ。亡くして気づくこともあったし、という感じですね」。
2月の石垣島春季キャンプでは、バットをたくさん振って、投手の球をたくさん捕って、そしていつものように大きな声を出しチームを盛り上げた。まずは打撃。「このキャンプは数を振ろうと思っていたので、数多く振っています」。現役ドラフトで西武から加入した愛斗、高卒3年目の松川虎生とともに全体練習後に室内練習場で長い時間、マシンを相手に黙々と打ち込む姿はこのキャンプの恒例となった。
「形だったり、強く振ることが大前提でやっています」。闇雲に長い時間バットを振っているのではなく、試合で活躍するため、目的意識を持って振り込んだ。
内野手登録ではあるが、春季キャンプから捕手に本格挑戦し、連日ブルペンで投手の球を受けた。2月8日は忙しかった。午前中にブルペンで唐川侑己の球を受け、午後からは初めてライブBPで捕手を務め、中村稔弥、廣畑敦也、高野脩汰、横山陸人の4投手の球を受けた。大下は、打者が立った中で捕手をやるのは「全然違います。バッターが振ってくるので、結構怖かったです」と振り返る。
本職の内野でもシートノックではファースト、サードに入ってノックを受けており、7日のシートノックではサードのポジションで人一倍大きな声を出した。捕手では「ナイスボール、ヨコ」、「グッド曲がり」と控え目だが、内野では豊富な声出しレパートリーで存分に盛り上げた。
豊富な練習量は、シーズン開幕前の3月26日のZOZOマリンスタジアムの室内練習場で行われた全体練習後にも、裏方スタッフに打撃練習を撮影してもらい映像を確認しながらバットを振っていた。とにかく結果を残すため、チャンスが来た時に結果を残すための準備をしてきた。
一軍の公式戦では昨年6月11日の広島戦以来のスタメン出場となった4月14日の楽天戦、初回、佐藤都志也の押し出し四球、山口航輝、中村奨吾の適時打で4点を奪いなお一死一、三塁の場面で、大下のこの日最初の打席が回ってきた。立ち上がり苦しむ楽天先発・藤井聖が2ボール1ストライクから投じた4球目の外角の変化球をレフト線に弾き返す適時二塁打。「久々のスタメンで打つことができてよかったです!」と喜んだ。
今季スタメン出場は結果的にこの1試合のみ。それでも、ベンチでは常に大きな声を出し最前列で戦い、マリーンズの攻撃中には先発投手のキャッチボール相手を務め、イニングを終えてベンチに戻ってきた投手を一番に出迎えるなど、自分のやるべきことを務めた。
一軍でプレーしながら、なかなか出番が回ってこない中で、試合前の打撃練習で意識していること、どんなことを取り組んでいたのだろうかーー。
「普段から打席をイメージをして1球1球しっかりやっていけるように、普段の1球1球しっかりやっていくことです」。
「常に練習の時から試合で出て打てる準備をしてきたので、特に打席に立ったからこうやろうとかはなくて、普段練習でやっていることをきっちりやろうかなと思ってやっています」。
大下は本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われる試合前のフリー打撃では、最初の方に打つため、右の打撃投手が投げるボールを打つことが多い。「左ピッチャーは嫌じゃないので、右の方が練習になるのかなと思います」。
実際に試合に出場しないと、自身の課題点や現在の調子など掴みにくい部分がありそうな感じもするが、そこは「1打席しかないので1打席でどうやって結果を残せるかだと思うので、代打は難しいですけど、しっかりピッチャーと勝負できるように準備だけを怠らず打席に向かっていますけどね」とシーズン中に話した。
「出ていない中でもやるべきことはあると思っていたので、キャッチャーもやっていたので、第3捕手としていつでもいける準備はしていました。なかなか出る機会がなかったですけど、最後の最後まで一軍に入れたのは良かった」。
プレーヤーである以上は、試合に出て活躍したい思いは当然ある。「来年はしっかり自分が試合に出て活躍できるように頑張りたいと思います」と前を向いた。来季に向けた戦いはすでに始まっている。シーズン終了した後、みやざきフェニックス・リーグからバットを長く持って打っている。
その意図について「意識づけ、タイミングの取り方をやっているので、大きく使ったり、小さく使ったりとか、そういうのを試している状態なので、早く自分のものにできるようにやりたいなと思っていす」と説明し、色々な構えで打っているのも「試合がないので、色々試してみようかなと思っています」と明かした。
「もうとにかく自分のバッティング、自分のものにできるように。一生懸命やりこんでいけたらなと思いますね」と、この秋も徹底的にバットを振り抜いている。
それは来季、打ってチームに貢献するためだ。「最後みんなで笑って終われるように。個人としても5年間なかなか自分が思うような結果を残せなかったので、満足できるような結果を残せるように頑張ります」。来季こそチームとしても、大下個人としても“笑顔”で終われる1年にして見せる。
取材・文=岩下雄太
ロッテの大下誠一郎は今季、出場試合数が昨季の23試合から22試合に減少したが、シーズン通して一軍で戦い抜いた。
今季にかける思いが強かったのには理由がある。「今年1月7日に親父を亡くして、より一層ちゃんとやらなあかんなという思いでずっとやっていた。親父が亡くなったからちゃんとやろうではなくて、“いつもよりやってやろう”と思うようになったというのが正直なところ。亡くして気づくこともあったし、という感じですね」。
2月の石垣島春季キャンプでは、バットをたくさん振って、投手の球をたくさん捕って、そしていつものように大きな声を出しチームを盛り上げた。まずは打撃。「このキャンプは数を振ろうと思っていたので、数多く振っています」。現役ドラフトで西武から加入した愛斗、高卒3年目の松川虎生とともに全体練習後に室内練習場で長い時間、マシンを相手に黙々と打ち込む姿はこのキャンプの恒例となった。
「形だったり、強く振ることが大前提でやっています」。闇雲に長い時間バットを振っているのではなく、試合で活躍するため、目的意識を持って振り込んだ。
内野手登録ではあるが、春季キャンプから捕手に本格挑戦し、連日ブルペンで投手の球を受けた。2月8日は忙しかった。午前中にブルペンで唐川侑己の球を受け、午後からは初めてライブBPで捕手を務め、中村稔弥、廣畑敦也、高野脩汰、横山陸人の4投手の球を受けた。大下は、打者が立った中で捕手をやるのは「全然違います。バッターが振ってくるので、結構怖かったです」と振り返る。
本職の内野でもシートノックではファースト、サードに入ってノックを受けており、7日のシートノックではサードのポジションで人一倍大きな声を出した。捕手では「ナイスボール、ヨコ」、「グッド曲がり」と控え目だが、内野では豊富な声出しレパートリーで存分に盛り上げた。
豊富な練習量は、シーズン開幕前の3月26日のZOZOマリンスタジアムの室内練習場で行われた全体練習後にも、裏方スタッフに打撃練習を撮影してもらい映像を確認しながらバットを振っていた。とにかく結果を残すため、チャンスが来た時に結果を残すための準備をしてきた。
一軍の公式戦では昨年6月11日の広島戦以来のスタメン出場となった4月14日の楽天戦、初回、佐藤都志也の押し出し四球、山口航輝、中村奨吾の適時打で4点を奪いなお一死一、三塁の場面で、大下のこの日最初の打席が回ってきた。立ち上がり苦しむ楽天先発・藤井聖が2ボール1ストライクから投じた4球目の外角の変化球をレフト線に弾き返す適時二塁打。「久々のスタメンで打つことができてよかったです!」と喜んだ。
今季スタメン出場は結果的にこの1試合のみ。それでも、ベンチでは常に大きな声を出し最前列で戦い、マリーンズの攻撃中には先発投手のキャッチボール相手を務め、イニングを終えてベンチに戻ってきた投手を一番に出迎えるなど、自分のやるべきことを務めた。
一軍でプレーしながら、なかなか出番が回ってこない中で、試合前の打撃練習で意識していること、どんなことを取り組んでいたのだろうかーー。
「普段から打席をイメージをして1球1球しっかりやっていけるように、普段の1球1球しっかりやっていくことです」。
「常に練習の時から試合で出て打てる準備をしてきたので、特に打席に立ったからこうやろうとかはなくて、普段練習でやっていることをきっちりやろうかなと思ってやっています」。
大下は本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われる試合前のフリー打撃では、最初の方に打つため、右の打撃投手が投げるボールを打つことが多い。「左ピッチャーは嫌じゃないので、右の方が練習になるのかなと思います」。
実際に試合に出場しないと、自身の課題点や現在の調子など掴みにくい部分がありそうな感じもするが、そこは「1打席しかないので1打席でどうやって結果を残せるかだと思うので、代打は難しいですけど、しっかりピッチャーと勝負できるように準備だけを怠らず打席に向かっていますけどね」とシーズン中に話した。
「出ていない中でもやるべきことはあると思っていたので、キャッチャーもやっていたので、第3捕手としていつでもいける準備はしていました。なかなか出る機会がなかったですけど、最後の最後まで一軍に入れたのは良かった」。
プレーヤーである以上は、試合に出て活躍したい思いは当然ある。「来年はしっかり自分が試合に出て活躍できるように頑張りたいと思います」と前を向いた。来季に向けた戦いはすでに始まっている。シーズン終了した後、みやざきフェニックス・リーグからバットを長く持って打っている。
その意図について「意識づけ、タイミングの取り方をやっているので、大きく使ったり、小さく使ったりとか、そういうのを試している状態なので、早く自分のものにできるようにやりたいなと思っていす」と説明し、色々な構えで打っているのも「試合がないので、色々試してみようかなと思っています」と明かした。
「もうとにかく自分のバッティング、自分のものにできるように。一生懸命やりこんでいけたらなと思いますね」と、この秋も徹底的にバットを振り抜いている。
それは来季、打ってチームに貢献するためだ。「最後みんなで笑って終われるように。個人としても5年間なかなか自分が思うような結果を残せなかったので、満足できるような結果を残せるように頑張ります」。来季こそチームとしても、大下個人としても“笑顔”で終われる1年にして見せる。
取材・文=岩下雄太