「去年の反省として肩を怪我したところが最初の反省なので、パフォーマンスが良くなったことに対する対応できる体をしっかり作るということですね」。
ロッテの唐川侑己は、昨季故障で離脱したことがあったのを理由に、今年のシーズンオフはこのようなテーマで自主トレを行った。
昨季は7月27日の楽天戦、6回・90球を投げ、3被安打、4奪三振、1与四球、1失点で先発投手としては18年7月5日のオリックス戦以来の白星を手にするなど、8試合・38回を投げ、3勝2敗、防御率2.37の成績を残した。
昨季の投球を振り返って、今季に向けてここを改善した方がいいなど考えていたのだろうかーー。
「う〜んとそうですね、基本的には去年と変わらずに自分の持っている持ち球をレベルアップさせて、ずっと言っているようにスライダーであったり、チャレンジしている球であったり、カーブを速くする。そこら辺も意識しながら12月中にキャッチボールをしたりして、なるべく1月に投球の割合に重きを置いていけるようにバランスでは意識していました」。
昨季は6月7日の取材で「一軍で投げた時はカットボールと風の相性が良かったので、カットボールが多くなりましたけど、じゃあまっすぐをいつ投げるのかと言われたら、フィーリングです」と話していたが、先発でもカットボール主体の投球でストレートをほとんど投げなかった。今季はストレートの割合を増やしたい考えがあるのか訊くと、「思ってはいますけど、ある程度割り切ってそれはそれ、自分の投球は自分の投球という中でやっていけたらなと思います。別に投げられなくてもいいかなと思います」と、今年も投球の生命線は基本的にはカットボールになっていきそうだ。
一軍では「ファームより一軍にきたらバッターのアプローチも変わってくるし、よりレベルの高いものになるので、そこはそんなに気にしていない」としながらも、ファームで投げている時は、「ちょっと高く上がるポップフライ。バッターがとらえたと思ってフライアウトになるのが一番です」とフライアウトにこだわった。
今季は一軍でも、武器であるカットボールを軸にフライアウトを多く取っていきたいのだろうかーー。
「それができたら一番ですけど、先発なので、それ以外の球種、コンビネーションが大事になってくると思うので、そこら辺をより高いレベルでできるように。他の球種も合わせてやっていけたらなという感じです」。
他の球種で言えば、昨年の取材から度々出てくる“チャレンジ中”と話していたスライダーの使い方。
「もっと自分の中で信頼していける球にしていきたいと思っているので、キャンプでも当然練習したいなと思いますし、そこら辺が課題かなと思います」。
チャレンジ中のスライダーは一軍やファームでも投げており、横変化、縦変化の2種類を投げているが、本人は「横のスライダーですね」と横のスライダーを多めに投げていきたいとのこと。
今季に向けて昨季先発ローテーションで投げていた佐々木朗希、メルセデスが退団し、中森俊介、田中晴也といった若手の台頭も待たれるが、唐川をはじめとしたベテランの役割がより一層重要になってくる。「ある程度、上の4人、5人は決まっていると思うんですけど、まだ不確定なポジションもあると思いますし、競争に入っていけるようにとは思っています」。
今年は年男、7月5日で36歳を迎える。「年男だからということはないですけど、ずっとみんなが言っているようにリーグ優勝、チームとしてみんなが目指しているところだと思いますし、個人としてはリーグ優勝に少しでも貢献したい。去年よりも。という思いです」。1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を達成するため、先発投手として今季は1つでも多くチームに勝利をもたらしたい。
取材・文=岩下雄太