「結果として出ているのはいいことじゃないですかね」。
ロッテの愛斗は今季に向けて“長打”にこだわってきた中で、ファームでは打率イースタントップの.336をマークし、確実性という部分でもしっかりと結果を残して、5月27日に今季初昇格を果たした。
オープン戦では「頭から行った時にいかに内容よく行けるか、長打を打てれば最高ですし、強い打球、自分のスイングが練習から試合もできていると思っています」と、スタメン出場した3月4日のDeNA戦、6日の広島戦で本塁打を放った。
開幕はファームで迎えたが、4月は24試合に出場して打率.319(69-22)、1本塁打、10打点の成績を残すと、5月は15試合に出場して打率.356(59-21)、1本塁打、6打点と打ちまくった。
4月12日の西武二軍戦、3-1の8回無死一、三塁の第4打席、水上由伸が投じた初球、右中間を破る2点適時二塁打をはじめ、右中間に飛ばす当たりが非常に良かった。“右中間”に打っている時は好調のバロメーターのひとつだったりするのだろうかーー。
「そんなことはないですけど、僕はどっちにも打てるタイプ。右方向、引っ張る方向だけじゃなく、両方打てるような意識はしています」。
4月6日のDeNA二軍戦、2-0の5回一死一塁の第3打席、庄司陽斗に対し1ボールからの2球目にノーステップ打法で打ち、130キロのスライダーを詰まりながらセンター前に運ぶなど、“ノーステップ気味”に打つこともあった。
そこに関して「練習からやっていること。試合になったら、臨機応変に対応しないといけないので、自分の1個の引き出しとして持っているという感じです」と教えてくれた。
守っても、4月5日のDeNA二軍戦、3-0の5回二死一、二塁で度会隆輝が放った左中間の安打をセンター・愛斗が素早く処理し、二塁ベース上でオーバーランしていた一塁走者・栗飯原龍之介を見逃さず、二塁へ送球して二塁ベース上でタッチアウト。二塁走者の生還よりも先にアウトにしたため、得点を許さない好プレーを披露した。5月18日のヤクルト二軍戦、0-4の3回無死一塁で、西村瑠伊斗が放ったライトへのノーバウンドかワンバウンドで捕球するか難しい当たりをショートバウンドでキャッチし、素早く二塁へ送球しフォースアウトにするなど、ファームでも持ち前の守備力の高さを何度も見せた。
「守備は何も変えずに自分のやってきたことを出すくらいの感じでやっているので、いい感じなのかなという感じですね」。
走っても、4月25日のDeNA二軍戦の0-0の2回一死一塁で、山口航輝が放ったレフト後方のフライアウトで一塁から二塁にタッチアップすれば、5月23日の楽天二軍戦、1-0の5回無死一、二塁で角中勝也の1ストライクからの2球目に三塁盗塁を決めた。同日の楽天戦、4-1の8回一死満塁で大下誠一郎のライトへの犠飛で一塁から二塁にタッチアップし、藤田和樹の適時打で生還するなど、“隙のない走塁”も非常に良かった。
「バッティングだけじゃなく、守備、走塁も結果として見せないと上がれないのかなと。走塁は相手の隙をつくということしかできないと思うので、積極的な走塁というよりは相手の隙をつく走塁を心がけていました」。
ようやく巡ってきた一軍の舞台。「自分のやってきたことをそのまま普通にやるだけなので、それだけです」。シーズンオフから一軍で戦うための準備を怠ることなく、やってきた。後は、一軍の公式戦で発揮するだけだ。
取材・文=岩下雄太