侍ジャパン・種市篤暉(ロッテ)が、圧倒的な存在感を放っている。
WBC初登板となった7日の韓国戦で1回を投げ、3つのアウトを全て三振で奪ったが、8日のオーストラリア戦でも、流石の投球を見せた。ロッテでは先発を務めるが、侍ジャパンではリリーフの役割を担っている種市は、2-1の8回にマウンドに上がると、先頭のケネリーを145キロのスプリットで3球三振。続くバザーナを1ボール2ストライクから投じた4球目の146キロスプリットで遊ゴロ。簡単に2アウトとすると、最後はミードを1ボール2ストライクから投じた4球目の高め154キロのストレートで空振り三振に打ち取り、この日も危なげなく三者凡退に片づけた。
種市はここまでWBCに2試合・2回を投げ、被安打0、奪三振5、与四球0、0失点、奪三振率は驚異の22.50と完璧な投球で、侍ジャパン投手陣に欠かせない存在になりつつある。
◆ ストレート
種市の好投を支えているひとつがストレート。大ブレイクのきっかけになった19年も、元々動くようなストレートを投げていたが、投げ方を教えてもらいムービングしなくなり、開幕から一軍の打者を圧倒。規定投球回に届かなかったがリーグ4位の135奪三振をマークした。
昨季も前半戦は14試合・86回1/3を投げ、3勝6敗、67奪三振、防御率3.65だったが、オールスター明けは10試合・74回1/3を投げ、6勝2敗、94奪三振、防御率は驚異の1.45と、無双した大きな要因のひとつがストレートだった。
力強いストレートを投げるために、重要になってくるのがメカニック、技術であることを常々口にしている。種市は25年2月2日の取材で「最速もアベレージもですね。僕の中で158キロを出したいと思っていて、そこじゃなくて、160キロを目指した中でベストだと思います」と話し、158キロ投げるために必要なことについては「いろんな要素はありますけど、一番はメカニックかなと思います。メカニックの部分でもっと詰められる部分はあるかなと思います」と自己分析している。
昨年オールスター明けストレートで空振りを奪えている要因について訊くと、「メカニックを変えたことが一番かなと思います」と明かした。
昨季は開幕してからしばらくは本人が納得のいくストレートを投げられなかったが、そのストレートを立て直すために「一人でメカニックのことを考えてやれていたのが一番かなと。個別を長くしました。全体練習を早めに上がって、30分、1時間考える時間を作るようにしました」と、考える時間を増やし、力強いストレートを取り戻した。
WBC球に対しても、昨年10月27日のZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習でのライブBPでは、上田希由翔、友杉篤輝に対してストレートが抜け気味だったが、「メカニックの部分がほとんどです。どうやったら滑らないフォームになるか、どう言った部分をほぼ2ヶ月間やっていました」と自主トレを一緒に行なった千賀滉大(メッツ)から助言をもらうなどして、大会に向けてしっかりアジャスト。
2月27日に行われた『ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2026名古屋 侍ジャパン vs 中日ドラゴンズ』では、ボスラーを一塁ゴロに打ち取った球は自己最速の156キロを計測。自己最速を投げ、「もっといきたいですね」と力強く宣言し、「リリーフなので、ショートイニングなので、そこは欲張っていきたいと思います」と続けた。
7日の韓国戦でも自己最速タイの156キロを2球計測している。大会前に世界の野球ファンに“TANEICHI”の名前を轟かせる準備はできたか訊くと、「いい感じで調整ができているので、あとは自分のパフォーマンスを出すだけかなと思います」と頼もしい言葉を残していたが、間違いなく世界の野球ファンに“TANEICHI”の名前が轟いているはずだ。マリーンズの代表として、世界の打者に立ち向かっていく姿は非常に頼もしく誇らしく感じる。
取材・文=岩下雄太