パ・リーグのサプライズ
各チームが40試合前後を紹介したパ・リーグで、快進撃を見せているのが楽天だ。
4月終了時点で16勝5敗と好スタートを切ると、5月に入ってからも一度も連敗することなく、10勝6敗という好成績。2位のソフトバンクも今月に入って順調に勝ち星を積み重ね、追撃態勢を整えているが、その差はなかなか縮まらない状態となっている。
その楽天を相手にこの週末、2勝1敗と勝ち越したのが最下位のロッテだ。依然としてチーム打率は1割台に低迷しており、借金はいまだに19を数える。開幕前は、日本ハムとソフトバンクの“2強”に次ぐライバルと目されていた両チームだが、首位との差はすでに17ゲーム。現時点での明暗はくっきりと分かれている。
明暗分かれた2人のこれから
楽天の開幕ダッシュの要因を挙げればきりがない。2番にペゲーロを据えた超攻撃的打線や、エース・則本昂大を中心としたローテーションの充実。さらに守護神・松井裕樹を中心としたブルペン陣の躍進などが挙げられる。それらはまさに梨田昌孝監督の手腕の賜物と言っていいだろう。
梨田監督といえば、これまで近鉄(2000~04年)と日本ハム(08~11年)の監督時代は、いずれも2年目にリーグ優勝を果たしている。そして今季が楽天での2年目…。同監督にとっては、まさに勝負の年と言っていいだろう。また、今季が現役監督の中で最長となる11シーズン目となり、これまでリーグ優勝2度、Aクラスは6度を数える名将の一人だ。
そして、それに次ぐ監督9シーズン目を迎えているのがロッテの伊東勤監督だ。西武(04~07年)の監督時代も含め、昨季までの8シーズンでリーグ2位からの日本一が1度、さらにAクラスは梨田監督と同じ6度を誇る。特に13年のロッテ監督就任後は、決して豊富な戦力とは言えないなか、4シーズン中3度もチームをAクラスに導いてきた。
今季のロッテはオープン戦で好成績を収めたため、昨季の3位からさらなる躍進が期待された。ところが、開幕後は苦しい戦いを強いられている。得点、失点ともに12球団ワーストという現状では、伊東監督の手腕をもってしても低迷は避けられない状態だ。
それでも、21日の楽天戦では打線が今季4度目の2ケタ安打を放ち、最後は主将・鈴木大地の魂の一撃で岸をKO。見事な逆転勝利を挙げ、11カードぶりとなる勝ち越しと徐々に明るい兆しも見えてきている。
選手時代も含めてパ・リーグ一筋、そして捕手出身という共通点を持つ2人の指揮官。梨田監督の「2年目のマジック」は再び炸裂するのか。そして苦境に立つ伊東ロッテの反撃はあるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)