“2強”のマッチレースと思いきや…
プロ野球・勝負の8月戦線。パ・リーグの上位争いがおもしろくなってきた。
今季は楽天が春先から首位を快走。その後はソフトバンクが徐々に差を詰めていき、この上位2チームによる熾烈な争いへ。3位以下を大きく引き離し、夏場を前に“2強”によるマッチレースになると思われた。
ところが、オールスターも越えて7月の下旬に入ると、3位の西武が怒涛の13連勝。最大11ゲームあった差を一気に詰め、上位2チームに肉薄してきた。現在は楽天が首位に立ち、「マイナス1」差でソフトバンクが2位。そこから5.5差で3位・西武という状況となっている。
残り2か月のペナントレース。果たしてこの中から混戦を抜け出すチームは現れるのか、それとも団子状態のままでシーズン終盤を迎えるのか…。上位3球団のキーマンを探ってみた。
キューバの主砲の復調
まずソフトバンクから、5番を打つデスパイネを挙げたい。
内川聖一の離脱以降、三冠王も視野に入れる柳田が4番に入って好調をキープ。そこで重要な役割を担うのが、その柳田の後ろに入る5番打者だ。
ここまで打率.253、24本塁打、69打点という成績を残すデスパイネ。本塁打数はリーグ2位タイ、打点も3位と好成績を残しているが、そのうち15本塁打、44打点は5月までに残していたもの。6月以降はややその打棒に陰りが見える。
6月1日以降の成績は、44試合で打率.218、9本塁打、25打点。このままでは相手バッテリーが柳田との勝負を避けるシーンも増えてくることが予想され、キューバの主砲の復調具合が大きなカギを握る。
守護神の復活は…
再び首位に立った楽天からは、現在戦列を離れている守護神・松井裕樹の名前を挙げたい。
今季は43試合の登板で3勝1敗、防御率は驚異の0.20と抜群の安定感でチームを支えていた21歳の左腕。7月下旬までですでに29のセーブを挙げ、ソフトバンクのサファテとハイレベルなセーブ王争いを繰り広げていたが、左肩痛を発症して戦線離脱となった。
箇所が箇所だけに無理はさせられないが、この男の復帰時期はチームの命運を大きく左右することだろう。現在のところ8月中の復帰を目指して調整中となっているが、今後の経過から目が離せない。
快進撃支える若獅子
最後に猛追する3位・西武からは、山川穂高をキーマンに挙げる。
不振のメヒアに代わって定位置を掴むと、8月は7試合で打率.500、4本塁打、15打点の大暴れ。強力打線の中でも一際輝きを放っている。
昨年も夏場以降で本塁打を量産しているように、暑い時期に本領を発揮するタイプ。この勢いがどこまで続くのか。ブレイクの気配を漂わせる“おかわり2世”の今後から目が離せない。
豊富な戦力を誇るソフトバンクと、故障者が多くなっている分、戻ってきた時の戦力アップに期待がかかる楽天。そして今もっとも勢いに乗る西武…。この3チームによる優勝争いから目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)