制度上は何も問題ないのだが…
10月18日からクライマックスシリーズ(CS)もファイナルステージの戦いがスタート。今年は両リーグとも3位チームが優勝チームに立ち向かうという構図となり、セ・リーグは広島がDeNAに対して星1つリード。パ・リーグは楽天が連勝でソフトバンクからリードを奪った。
この時期になるといつも議論になるのが、CSというシステムの問題。特に今季は広島が2位と10ゲーム、ソフトバンクは13.5ゲームもの差をつけての独走優勝だったため、この両チームが日本シリーズ進出を逃す可能性があるというのはいかがなものか、という声がポストシーズンの前から聞こえていた。
例年以上に“CS不要論”の声が大きい中、もしDeNAと楽天がファイナルステージも突破したら…。日本シリーズはどういった盛り上がりを見せるのだろうか。
実際のところ、阪神ファンの筆者も2014年にそういった“何とも言い難い感情”を経験している。巨人を破っての日本シリーズ進出にも、どこか心の底から喜べないという複雑な心境を抱いていた。
しかし、制度上こちら側に非はなく、突破したからにはリーグの代表として堂々と日本一をかけて戦う権利がある。公式戦の成績を一旦リセットして行うプレーオフ制度はそういうものだからだ。
しかも、優勝チームにはファイナルステージで1勝のアドバンテージがある。それを覆しての戦いとなれば、むしろ賞賛されて然るべきだろう。
日本も『地区制』に!
では、海の向こうメジャーリーグの事情はどうか。
メジャーのプレーオフ制度は6地区の優勝チームと、4枠のワイルドカードチームによって争われる。30球団中10球団がプレーオフの戦いに挑む。
この制度だと日本と同様、ワイルドカードのチームが勝ち上がってワールドシリーズを戦うこともある。最近では2014年のジャイアンツとロイヤルズがそうで、その時は「ワイルドシリーズ」などと揶揄されることもあったというが、プレーオフの方式に関してそう大きな議論になることはない。
そこでひとつの案が浮かび上がる。日本のプレーオフ制度において最も引っかかるのが“3位からの逆転”というポイントであるならば、いっそメジャーにならった『地区制』にするのはどうだろうか。
具体的にはセ・リーグとパ・リーグを2地区に分け、地区優勝チームがリーグ優勝決定シリーズに進出。そこを勝ち上がった両リーグの代表で日本シリーズを戦うというものだ。
たとえばセ・リーグなら「巨人、ヤクルト、DeNA」が東地区で、「中日、阪神、広島」が西地区。パ・リーグは「日本ハム、楽天、ロッテ」が東地区、「西武、オリックス、ソフトバンク」を西地区に振り分ける。東西の王者がリーグ優勝をかけて戦い、日本シリーズへと続く、という流れである。
本来は16チームによる4地区×4チームが理想だが、球団拡張となると現実的ではないため4地区×3チームで。また、東西で格差が生まれ、勝率リーグ4位のチームが地区優勝をするという可能性も出て来るが、その点は地区内の試合数を調整することでなんとかできるはずだ。なにより、日本一になるのはあくまでも“地区優勝”したチームとなるので、現行の制度よりはすっきりするのではないか。
パ・リーグで2004年に『プレーオフ』としてはじまり、2007年から『クライマックスシリーズ』として両リーグに導入されたポストシーズンの戦い。全野球ファンが納得する着地点が見つかるまで、その議論は続いていく。
文=八木遊(やぎ・ゆう)