格差シリーズ!?
ソフトバンクとDeNAによる日本シリーズはソフトバンクが本拠地で2連勝を飾り、優位に立っている。
シリーズ第1戦は地力で勝るソフトバンクが10-1と圧勝。この試合の中盤にソフトバンクが大量リードを奪うと、ツイッターでは「33-4」というワードのツイート数が急上昇した。
「33-4」とは、2005年の日本シリーズ「ロッテ対阪神」の4試合の合計スコアを指している。今年の日本シリーズの両チームの“実力差”から、再び「33-4」に匹敵する“格差シリーズ”になるのではという声を反映したものだ。12年前の第1戦も今年と全く同じスコア(10-1)だったことから、ネット上で話題になった。
<2005年度日本シリーズ>
第1戦:ロ 10-1 神(千葉マリン)
第2戦:ロ 10-0 神(千葉マリン)
第3戦:ロ 10-1 神(甲子園)
第4戦:ロ 3-2 神(甲子園)
しかし、DeNAは第1戦の惨敗から一転、第2戦で底力を発揮する。1点ビハインドの6回に2本のホームランで逆転に成功。敵地で1勝1敗のタイに持ち込むかに見えたが、不可解な継投や守備の乱れもあり逆転負けを喫した。決勝点は、ホーム上の際どい判定がリプレー検証の結果、ソフトバンク側に覆るという“不運”も重なった。
31日からは本拠地・横浜に移動しての3連戦。DeNAは、一矢報いて再び福岡に戻れるのだろうか。
本拠地ハマスタで仕切り直し
カギはDeNAの先発投手だ。DeNAが勝機を見いだすためには、先発投手が6回を投げ2点以内には抑えたい。第3戦の先発はウィーランド、第4戦以降は浜口遥大、石田健大という左腕2人の先発が予想される。
ウィーランドはオールスター以降、クライマックスシリーズを含め9連勝中。また、連敗ストッパーとしても計算できる投手だ。公式戦では、チームが連敗中の状況で7試合に登板。6勝1分けと一度も負けていない。
では、浜口と石田の若い2人に強力ホークス打線を抑えるチャンスはあるだろうか。ソフトバンクは、楽天とのクライマックスシリーズで2敗を喫したが、いずれの試合でも塩見貴洋と辛島航という先発サウスポーを打ちあぐねていた。日本シリーズ第2戦でも同じく左腕の今永昇太に苦しんでおり、浜口と石田が好投する可能性は十分あるだろう。
一方のソフトバンクは、デスパイネの起用法がカギになるのではないだろうか。デスパイネは、今季公式戦で136試合に出場しているが、守備についたのは3試合のみ。慣れない横浜スタジアムの外野を守ることになれば、守備への不安だけでなく、2試合で4安打3打点と好調な打撃にも悪影響が出る可能性は考えられる。
いずれにしても、DeNAとしては、第3戦は絶対に落とせない一戦となる。ここまでの2試合を振り返ると、得点圏では10打数無安打。得点は、本塁打2本と内野ゴロの間による4点だけだ。第3戦では、まず先制し、流れを引き寄せたい。
公式戦3位から日本シリーズに進出したDeNAが失うものは何もない。クライマックスシリーズで阪神と広島を相手に見せた底力を、三度(みたび)見せることはできるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)