コラム 2018.03.06. 11:30

最下位球団を戦う集団に変える!井口新監督の“走塁革命”

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ロッテ・井口資仁監督

オープン戦で鮮やかな足攻を披露


 井口資仁新監督の下、最下位からの巻き返しを図るロッテ。3月4日に行われた日本ハムとのオープン戦で、その新たなプレースタイルを披露した。

 4回、死球と牽制悪送球で進塁した柿沼友哉を二塁に置き、加藤翔平が初球で一塁前に完璧なセーフティーバントを決める。加藤は続く打者・中村奨吾の場面ですかさずスタート。捕手・清水優心が二塁に送球すると、三塁走者・柿沼がディレードスチールを決めて見事生還を果たす。さらに、加藤は三盗まで決め、中村の適時打でもう1点を追加。足を存分に生かした鮮やかな攻撃を見せた。


走塁革命の真意は選手たちの意識改革!?


 近年のロッテというと、毎年のように長打力不足に悩まされているチーム。にも関わらず、昨季途中から加入してチーム最多の15本塁打を放ったペーニャとの契約更新はしなかった。新外国人のドミンゲスやペゲーロもどれだけの成績を残せるかは未知数。ここまでのところ、長打力不足解消のめどは立っていないと言える。

 その状況を踏まえれば、長打力に頼らない戦術を取るしかない。昨秋の就任会見で井口監督が“目指す野球”として語ったのは「機動力を使った攻撃的な野球」だった。しかも、秋季キャンプ中にシーズン120盗塁だった目標は、春季キャンプでは140盗塁に上方修正。昨季、ロッテが記録した78盗塁に62盗塁も上乗せする目標値である。12球団最多だった西武の129盗塁も軽く上回る数字だ。

 確かに、ロッテには荻野貴司ら俊足の選手は少なくない。とはいえ、この目標値はそう簡単にクリアできるものではない。だが、シーズン140盗塁という高いハードルに向かってひた走ることで変わるものもあるだろう。それは、戦う姿勢だ。

 常にひとつでも先の塁を狙い、どんな泥臭い手であっても1点をもぎ取る。その意識が選手たちを戦う集団に変える。そんなチームであれば、たとえ試合には負けたとしても、ファンはそのスリリングで前向きな戦いぶりに納得するものが生まれる。

 かつて2度の盗塁王に輝いた井口監督が掲げる“走塁革命”。当然、攻撃的野球で勝つことが一番の目標ではあるだろうが、その真意は選手たちの試合に臨む意識に革命を起こすことにあるのかもしれない。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)


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