レベルアップした姿を見せる源田
その年もっとも活躍を見せた新人選手を称える「最優秀新人」、いわゆる“新人王”のタイトル。昨季はセ・リーグが京田陽太(中日)、パ・リーグは源田壮亮(西武)という2人の遊撃手がその栄誉を手中に収めた。
歴代で見ても遊撃手が受賞した例は少なく、両リーグとも遊撃手だったのは史上初のこと。球界に新たな歴史を作った若き2人だが、今季は開幕から対照的な成績となっている。
まずは、西武の源田から。今季も「2番・遊撃」の座を不動のものとすると、開幕から首位を快走するチームの中心的存在として活躍。ここまで走攻守すべての面で昨年を上回る活躍を披露している。
打率.313はリーグ4位という好成績。本塁打こそまだ出ていないものの、二塁打は8本、三塁打は両リーグ最多の7本もマーク。盗塁もリーグ4位タイの11個を記録しており、強力打線に欠かせない“つなぎ役”として存在感を放っている。
また、今季は打点も多く稼ぐことができている。圧倒的破壊力を誇る打線の中、2番という打順でリーグ5位タイの26打点をマーク。もともと昨季も.344と高かった得点圏打率が今季は.405に向上しており、つなぐだけでなく、ポイントゲッターとしても機能しているのだ。
そして、本人が最も強いこだわりを見せる守備面も、今季の失策はわずかに2つだけ。昨季は攻めの守備の反動もあって両リーグ最多の失策21を記録したが、今年は広い守備範囲はそのままに確実性を増した。なにより、プレーから自信が漂う頼もしい存在になった。
2年目のジンクス…?
その一方、苦しい戦いを強いられているのが京田だ。
打率.224は規定到達の32人中30位と低迷。なかでも対右投手の打率が.187となっており、昨季の.273から著しく低下している。反対に左投手に対しては.235だったのが.286と克服しつつあるだけに、今後は“対右”の向上がひとつ大きなカギとなりそうだ。
「2年目のジンクス」を心配する声もあったものの、直近5試合は18打数6安打の打率.333と調子上向き。19日の阪神戦では、定位置だった2番から離れて今季初めて1番で起用されると、4打数2安打1打点、盗塁1つに得点1と早速結果を出した。復調の兆しは見えつつあるだけに、今後に期待したい。
ともに1年目から遊撃手という激務をこなし、新人王の栄誉に輝いた2人。今年も調子の差はあれど、ともにレギュラーを守ってチームのために奮闘を見せている。
まだまだシーズンは始まったばかり。5月も半分を過ぎ、月末からはペナントの行方を大きく左右する交流戦も開幕する。源田は10年ぶり優勝のキーマンとして、京田は逆襲の起爆剤として…。昨季の新人王2人にかかる期待は大きい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)