1イニング2本塁打含む6安打3本塁打7打点の活躍
9月16日のDeNA戦に3番・三塁で先発出場した阪神・大山悠輔のバットが、チームを大勝に導いた。圧巻だったのは3回だ。第2打席で左翼席に飛び込むソロアーチをかけると、打順が一巡して再び出番が回ってきた。その第3打席、大山は1イニング2本目となる2ラン本塁打を放ってみせた。
この日の大山はまだまだ止まらない。8回に迎えた第6打席では、砂田毅樹が投じた甘いスライダーを一閃。左翼スタンド最上段にまで届く特大の3ランとなった。終わってみれば6打数6安打3本塁打7打点と、まさに大当たりとしか言いようがない活躍であった。
この日は先発した藤浪晋太郎が1999年のガルベス(巨人)以来19年ぶりとなる投手としての満塁本塁打を記録したが、大山が残した記録もかなりレアなもの。3回に記録した1イニング2本塁打は、日本人としては2001年の城島健司(ダイエー)以来17年ぶり、プロ野球史上20人目の快挙である。打者一巡することもそう多くはないのだから、その難易度の高さは容易に想像できる。
過去の達成者には、城島の他、大島康徳(中日)や掛布雅之(阪神)、原辰徳(巨人)、池山隆寛(ヤクルト)、石毛宏典(西武)ら、そうそうたるメンバーが名を連ねる。そのなかで意外にも思えるのが岡村隆則(西武)だ。岡村が1イニング2本塁打を記録したのは1985年。同年、岡村はなんとサイクル安打も達成している。通算成績が打率.223、10本塁打80打点ということを思えば、この年の岡村はまさに神がかっていたと言えそうだ。
セ・パ両リーグタイ1試合6安打達成者は6人のみ
また、大山が記録した1試合6安打も超レア記録である。1試合あたりの安打数のプロ野球記録は、1リーグ時代の1949年に大下弘(東急)が記録した7安打だが、6安打はセ・パ両リーグ最多タイ記録。しかも、その偉業を成し遂げたのは、大山も含めて下記の6人のみである。
【1試合6安打記録者】※2リーグ制以降
大沢伸夫(大 洋) 1951年8月26日 広島戦
渡辺博之(大 阪) 1954年5月26日 中日戦
仰木 彬(西 鉄) 1955年5月22日 トンボ戦
高田 繁(巨 人) 1974年5月10日 中日戦
城島健司(ダイエー)2003年7月27日 オリックス戦
大山悠輔(阪 神) 2018年9月16日 DeNA戦
驚くべきは、ここにも城島の名前があること。長いプロ野球史上でもまれな「打てる捕手」だったことは誰もが知るところではあるが、捕手でありながらこんな記録まで残しているとは。あらためて、城島という選手のすごさを感じさせる記録である。
2年目の飛躍を期待されながら、今季はなかなか調子が上向かなかった大山。レア記録の達成者としてともに名を連ねた城島らのように、将来、レジェンドと呼ばれるような選手になれるのか――。城島のすごさを感じながら、大山のバットにも大いに期待したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)