ZOZOマリンが打者有利の球場に
各チームが秋季キャンプや戦力補強を行い来季に向けて動きはじめているなか、ロッテは本拠地・ZOZOマリンスタジアムを改修している。一・三塁側のファウルゾーンには「サブマリン・シート」という名のフィールドシートが設置され、ファウル増加により打者有利の球場に生まれ変わる。目玉は「ホームランラグーン」と名づけられた、いわゆるホームランテラス席の設置だ。その結果、必然的に本塁打は増えるだろう。
近年、ロッテの大きな課題として掲げられるのが本塁打の少なさ。100本塁打に到達したのは2010年が最後だ。その年も含め、今季までの9シーズン連続でチーム本塁打はリーグ4位以下に沈んでいる。特に2015年以降は4シーズン連続でリーグワースト(※2015年は楽天とワーストタイ)であり、長打力不足は深刻といっていいレベルである。
とはいえ、ホームランテラス席はもろ刃の剣でもある。本塁打は増加するだろうが、当然、被本塁打も増加する。本塁打数だけではなく投手成績も良好とは言えないため、ホームランテラス席の設置を不安視しているファンも少なくないはず。ただ、ロッテはリスクを覚悟の上でチームのスタイルを変えようとしているのだろう。
「走塁改革」の次は「パワー改革」か
今季から指揮を執った井口資仁監督は「走塁改革」を掲げ、シーズンの盗塁数を「140」に設定した。残念ながらその数には届かなかったものの、盗塁数は昨季の「78」から「124」に激増。それでも、ペナントレースは5位に終わっている。
野球は「スピードとパワー」のスポーツである。盗塁の増加でスピード面の改革がある程度できたとするなら、次なるステップはパワーの獲得なのかもしれない。実際のところの井口監督をはじめとした首脳陣の本心は確かめようもないが、そういう戦略が垣間見えるのも事実だ。
今季は井上晴哉が2009年のサブロー(22本塁打)以来の生え抜き選手20本塁打に到達。最終的には24本塁打を記録してブレイクを果たした。そして、11月6日には新外国人・バルガスの獲得を発表。バルガスは196センチ133キロの巨体を誇るパワーヒッターであり、井上との大砲コンビとして期待される。
また、先のドラフト会議では、1位の藤原恭大(大阪桐蔭)の他、4位の山口航輝(明桜)、7位の松田進(Honda)と、指名した野手はいずれもパワーを持ち味とする選手たち。藤原はそれこそ、「スピードとパワー」を兼ね備えた逸材だ。
そして、FA宣言をした丸佳浩(広島)の獲得にも名乗りをあげている。もしも、今季39本塁打を記録し、球界を代表する打者である丸を獲得するようなことがあれば、チームは劇的な変化を遂げる可能性もある。
もちろん、すぐには結果として表れないかもしれない。それでも、本拠地改修も含めてロッテというチームが変わろうとしている、その一端を見せてくれる新シーズンになるのではないだろうか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)