コラム 2018.12.18. 18:00

金本政権と対照的?新生・矢野阪神の補強方針

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阪神・矢野燿大新監督と西勇輝 (C) KYODO NEWS IMAGES

リーグ屈指の先発投手陣に?


 2018年も残すところあとわずかとなり、各チームの補強が一段落しつつある。ここまで、FAの目玉であった丸佳浩、今季メジャー20発のビヤヌエバなど、次々と補強を進める巨人がオフの主役となっていた。“全権”を任されているとも言われている原辰徳監督の、「なんとしても優勝を勝ち取る!」という思いが伝わってくる。

 しばらくはその巨人の影に隠れていたが、12月に入り一気に補強を進めてきたのが阪神だ。今シーズンは17年ぶりとなる単独最下位に沈んだことで、球団も“本気”になった。12月7日にオリックスからFAとなった西勇輝を獲得すると、10日にはメッセンジャー、12日にはドリスと次々に実績のある外国人選手と再契約を果たす。そして17日には、中日の保留者名簿から外れていた今季13勝のガルシアとの契約を発表した。

 このガルシアの獲得で、12球団でも屈指の先発ローテーションが誕生することになる。来季から日本人扱いとなるメッセンジャーにガルシア、西の補強組、そこに岩貞祐太、秋山拓巳らが続く。さらには、復活をかける藤浪晋太郎に、若手有望株の小野泰己、馬場皐輔、浜地真澄、才木浩人などなど、6番手も競争が激しくなる。

 メッセンジャー(11勝/173.2回)、ガルシア(13勝/168.2回)、西(10勝/162.1回)の3人で今シーズンは34勝、投球イニング数は504.2回。12球団を見渡しても、今シーズン規定投球回に達した投手が3人以上いたチームはない。まさに、他球団も羨むローテーションとなりそうだ。

 その他にも、今季メジャーで37試合に登板している右腕のジョンソンを獲得しており、中継ぎ陣の整備にも余念がない。桑原謙太朗、能見篤史、藤川球児、そして残留の決まったドリスと軸がしっかりしているのも心強い限りだ。


金本前監督時代と対照的な補強


 西にガルシア、そしてジョンソン...。矢野燿大新監督となった阪神は、ここまで投手陣の補強を中心に進めてきた。金本知憲前監督時代に、糸井嘉男やロサリオといった力のある野手を補強してきた強化方法とは実に対照的である。

 もちろん、金本監督時代に野手を強化したからこそ、投手陣の整備を行えるといった見方ができるかもしれない。しかし、今シーズンのチーム成績を見ても、577得点(5位)、打率.253(5位)、85本塁打(6位)と打撃陣は結果を残すことができていない。一方の投手陣は、628失点(2位)、防御率4.03(2位)と結果を残してきた。

 今年の数字だけを見れば、投手陣よりも野手陣の補強を行うほうが効果的なようにも見える。とくに今年は、補強の目玉であったロサリオが大誤算だっただけに、大砲候補の補強を進めるかと思われていた。しかし、退団が濃厚と見られていた巧打タイプのナバーロを12月に入ってから残留させ、ドラフトでも1位は俊足巧打が売りの近本光司(大阪ガス)を指名している。昨年までと補強の進め方に変化が現れているのはあきらかだ。

 矢野監督といえば今季二軍の指揮を執り、リーグ1位の防御率3.00の投手力と163盗塁の機動力を武器にファーム日本一を勝ち取った。その成功体験を一軍でも踏襲すべく、ファームの首脳陣を一軍に呼び、投手力、機動力を重視する補強を行っているようにも見える。

 広い甲子園球場を本拠地とするだけに、投手を中心とした補強は合理的だ。同じく広いナゴヤドームを本拠地としていた、落合博満監督時代の中日と同じようなチームのつくり方である。

 はたして矢野新監督は、投手力重視で最下位脱出、そして上位浮上を成し遂げることができるだろうか。その手腕に注目が集まる。

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