今季のア・リーグ東地区は…?
1週間前に日本でシーズンの開幕戦が行われたメジャーリーグ。とはいえ、開幕を迎えたのはマリナーズとアスレチックスの2チームだけ。他のチームはと言うと、現地時間28日(日本時間29日)に一斉に2019年の初陣を迎える。
今回はMLBの本土開幕を前に、いよいよ始まる新シーズンの見どころや注目ポイントを地区ごとに紹介。ここでは、ア・リーグ東地区を取り上げる。まずは、シーズン展望の前に昨年の順位をおさらいしておこう。
▼ 2018・AL東地区順位表
2位 ヤンキース(100勝62敗)
3位 レイズ(90勝72敗)
4位 ブルージェイズ(73勝89敗)
5位 オリオールズ(47勝115敗)
【レッドソックス】
昨季はメジャー最多の108勝を挙げ、圧倒的な戦力で地区制覇。ポストシーズンでも11勝3敗と他を寄せ付けず、5年ぶりの世界一に輝いた。今季もムーキー・ベッツと不動の4番のJ.D.マルティネスがレッドソックス打線を牽引。他にもザンダー・ボガーツ、アンドルー・ベニンテンディなど20代の打者が強力打線を支える。
投手陣は、エースのクリス・セールを中心に、デビッド・プライスとリック・ポーセロがリーグ屈指の3本柱を形成。いずれも18~20勝する実力を持つ。唯一の不安は守護神クレイグ・キンブレルが抜けた穴だろう。昨季はセットアッパーを務めたマット・バーンズが有力候補だが、通算231試合に登板し、2セーブしか挙げていない。経験がモノをいう役割だけに一抹の不安が残る。
【ヤンキース】
昨季2位に終わったとはいえ、2009年以来のシーズン100勝を記録した。原動力は何と言っても史上最多267本塁打を放った打線だ。主軸のアーロン・ジャッジが112試合出場、ゲーリー・サンチェスが89試合出場という中での快挙。大谷翔平(エンゼルス)と新人王を争ったミゲル・アンドゥハーとグレイバー・トーレスが更なる成長を果たせば、史上初の300本塁打も夢ではない。
レッドソックスとは対照的に、ヤンキースはブルペンが安定している。守護神のアロルディス・チャプマンを筆頭にデリン・ベタンセス、アダム・オッタビノ、ザック・ブリトンとクローザー級の剛腕を4人そろえた。先発投手陣は平均年齢がやや高めだが、層の厚さという点ではレッドソックスを上回る。
【レイズ】
レッドソックスとヤンキースの2強が抜けた存在だが、レイズもあの手この手で対抗策を打って出る特色のあるチームだ。昨季は「オープナー」という戦略をメジャーに浸透させた。そんな中、21勝を挙げてサイヤング賞に輝いたブレーク・スネルが絶対的エースとして君臨。さらに過去2年で29勝を挙げたチャーリー・モートンをFAで獲得。この2人で35勝できれば、面白い存在になるだろう。
課題は長打力不足の打線。昨季のチーム打率はメジャー3位の.258だったが、150本塁打はワースト4位。昨季チームトップの30本塁打を放ったC.J.クローンを放出し、昨季以上の得点力不足に泣かされる可能性は高い。新たな秘策がなければ、勝率5割も厳しいだろう。
【ブルージェイズ】
2015年に93勝を挙げ地区優勝を果たしたが、その後89勝→76勝→73勝と低迷。投打ともに大物の補強もなく、勝利数はさらに減る可能性が高い。昨季デビューした二塁手のルルデス・グリエルがチームにとっての希望の星。昨季は、65試合で打率.281、11本塁打を記録。ケガがなければ、チームの主軸に成長しそうだ。
心配なのが昨季メジャーワースト4位の防御率を記録した投手陣。エースのマーカス・ストローマンはその高いポテンシャルを期待されながら、昨季は4勝9敗、防御率5.54に終わった。若手の成長なくして、最下位争いは避けられないだろう。
【オリオールズ】
昨季はメジャーワーストの115敗を喫し、レッドソックスに実に61ゲーム差をつけられた。目立った補強もなく、今季も100敗は確実視されている。長年チームを支えてきたアダム・ジョーンズも去り、チームは再建を目指すが、マイナーにも有望な若手選手が少なく、3~4年は低迷するだろう。オフに就任したブランドン・ハイド新監督の育成手腕に期待したい。
・まとめ
この地区は、レッドソックスとヤンキースの2強状態が今後数年続くだろう。今季に限って言えば、ヤンキースの逆転に期待したい。他の3チームがどれだけ2強に抵抗できるかも優勝争いのカギを握りそうだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)