今季のア・リーグ西地区は…?
1週間前に日本で開幕戦が行われたメジャーリーグ。とはいえ、2019年シーズンの開幕を迎えたのはマリナーズとアスレチックスの2チームだけ。他のチームはと言うと、現地時間28日(日本時間29日)に一斉に2019年の初陣を迎える。
今回はMLBの本土開幕を前に、いよいよ始まる新シーズンの見どころや注目ポイントを地区ごとに紹介。ここでは、ア・リーグ西地区を取り上げる。まずは、シーズン展望の前に昨年の順位をおさらいしておこう。
▼ 2018・AL西地区順位表
2位 アスレチックス(97勝65敗)
3位 マリナーズ(89勝73敗)
4位 エンゼルス(80勝82敗)
5位 レンジャーズ(67勝95敗)
【アストロズ】
2011年から3年連続100敗以上という時期を経て、強豪チームにのし上がった。2017年から2年連続100勝以上達成はメジャー全体でもアストロズだけだ。強力な先発投手陣がチームを牽引する。ジャスティン・バーランダーとゲリット・コールのWエースは昨季2人だけで566奪三振をマーク。リリーフ陣は一見目立たないが、昨季の救援防御率はメジャー全体でも1位だった。昨季途中に加入したロベルト・オズナが盤石なら、チームは今季も軽く100勝を超えるだろう。
打線はホセ・アルテューベやカルロス・コレアに加え、アレックス・ブレグマンが急成長。いずれもMVP級の実力を持つ。投打ともにレベルが高く、今季も世界一の最有力候補だ。
【アスレチックス】
昨季は前評判を覆し、アストロズと最後まで優勝争いを繰り広げた。オフには大物の獲得こそなかったが、ホアキン・ソリアーやジュリクソン・プロファーなど的確な補強に成功。昨季メジャー3位の227本塁打を放った打線は今季も健在。盗塁数はメジャー最少の35個に終わったが、得点力アップには、もう少し走る意識も植え付けたいところだ。
投手陣は平均年齢がやや高めの構成だが、若手の成長に期待したい。守護神のブレーク・トレイネンが盤石なだけにセットアッパー陣が確立されれば、アストロズに対抗できる可能性も十分ある。
【マリナーズ】
日本で2連勝スタートを切り、2001年以来のプレーオフ進出に向け弾みをつけた。昨季は89勝73敗で16個の貯金を作ったが、677得点に対して711失点と、総合力という点ではアストロズとアスレチックスには及ばなかった。オフにはロビンソン・カノやエドウィン・ディアスを放出し、今季は再建の年となるだろう。
絶対的エースが不在のローテーションにおいて、菊池雄星が13~15勝挙げることができれば、勝率5割も見えてくる。通算168勝を誇るフェリックス・ヘルナンデスの復活にも期待がかかる。
【エンゼルス】
チームの顔マイク・トラウトと新たに12年469億円という超大型契約を結んだ。トラウトの存在は打者・大谷翔平にも好影響を与えるだろう。2000年から19シーズンにわたって指揮を執ってきたマイク・ソーシア監督が去り、ブラッド・オースマス新監督の手腕、そして大谷の起用法にも注目だ。
トラウト、大谷、アルバート・プホルスらの引っ張る打線の得点力はリーグでも平均よりやや上に位置するが、投手陣には多くの疑問符がつく。昨季も投手陣には故障が目立ったが、今季も複数のローテーション投手が離脱するようならチームにとって長い1年となるだろう。
【レンジャーズ】
昨季は4年ぶりに地区最下位に沈んだ。前回はその翌年に地区優勝を飾ったが、今季はそう簡単にはいかないだろう。投打ともに年齢層はやや高く、マイナーにも若手の有望株は少ない。特に先発投手陣は故障持ちの選手が多く、フルシーズンの活躍は見込めなさそうだ。
希望の星は一塁手のロナルド・グスマン。メジャー1年目の昨季16本塁打を放ったが、今季は30本超えの可能性も秘めている。2年目のブレークに期待したい。
・まとめ
昨季の開幕前はアストロズの独走が予想されたが、アスレチックスとマリナーズが奮闘。両チームとも最後まで粘りを見せた。今季もアストロズが中心だが、唯一対抗できるとすればアスレチックスだろう。他の3チームはそれぞれ明確な弱点を抱えており、勝率5割が現実的な目標となる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)