コラム

新生オリックスの“新星”となるか!? 育成出身・榊原の再挑戦

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2019.03.31 14:00
北海道日本ハムファイターズ 3 終了 1 オリックス・バファローズ
札幌ドーム

オリ熱コラム2019〜第6回・榊原翼〜


 春季キャンプ中の出来事だった。

「何が悪いんだよ!全然いいじゃん」

 若月健矢の叱咤が宮崎のブルペンに響きわたる。黙々と投げているのは、高卒3年目の右腕、榊原翼。昨季の開幕前に育成から支配下登録され、シーズン終盤には先発として好投。プロ初白星は手にできなかったものの、3度の先発機会で17回を投げ2失点と存在感を示した。金子と西の移籍もあり、今年はローテに定着するチャンスの年でもあったが、キャンプに入ってから悩んでいた。

 1度目の紅白戦でマウンドに立った榊原から昨年の面影は消え、高山郁夫投手コーチの「本来の持ち味を出してみろ」というアドバイスも、すぐには整理できない。そんな中、先発枠を狙っていた小林慶祐、K-鈴木とブルペンが一緒になり、榊原が一番先に引き上げてしまう。すると若月が厳しい言葉を投げかけた。

「お前、競う気あるのか?」

 その直後に250球を投げると「それは違うだろう」と空回りを指摘されたが、若月の一言が「今年のキャンプはきれいにいこうと思っていた」という榊原には響いた。

 若月は「そんなキツイ言い方はしてないんですけどね(笑)。ただ5枚目、6枚目を争っている。見られてるぞ、という意味で言いました。色々考え過ぎてた部分があった。まだチームを背負わなくてもいいと思うし、胸を張って、声を出して、闘争心をむき出しにするのが彼の持ち味だと思うので、相手に向かっていけばいい」と意図を明かし、期待を込めた。

 その後、榊原からは昨年のマウンド上で見られた「ヨッシャ!」という雄叫びが何度も聞かれた。今回のキャンプではなかなか声も出なかったが、「力まず投げて、気合いの入ったピッチングを見せたい」と決意を新たにする。若月とのやりとりが、自分を見つめ直す契機となった。


若き猛牛の象徴として


 オープン戦では、3月17日の広島戦で7回を被安打1、無失点と好投。同24日の阪神戦では1イニングに7失点と崩れたものの、西村監督は、しっかりと気持ちを切り替えて後続を抑えたことなどを評価し、予定していた開幕3戦目の先発を変えなかった。

「同学年の(山本)由伸、同期の山岡さんと開幕ローテーションに入れたのは凄いこと。嬉しいですね」

 隣りにいた山本が「来年は(山崎)颯一郎もね」と言うと2人は笑った。この世代は非常に仲が良く、「自分らの世代でチームを引っ張っていきたい」という思いが強い。まずは山本と榊原が先発としてどれだけ試合を作り、どれだけ勝ち星を挙げられるか。若い力の頑張りがパ・リーグをかき回す原動力となるはずだ。

 昨年は開幕一軍入りを果たすも、8回から5番手としてマウンドに上がった4月1日のソフトバンク戦で1アウトも取れずに5失点で降板した。しかし、「あの日のことは一生忘れない。あれからずっとソフトバンクに勝つと思ってやってきた。勝ってもその気持ちは変わらないと思いますけど(笑)、絶対に勝ちます」と苦い経験を糧に腕を振り続けてきた。

 ようやく手にした開幕ローテの座だが、まだまだ安泰というわけではない。金子、西の移籍で空席となった先発の座を虎視眈々と狙う先発候補は他にもいる。あれから1年、再び一軍のマウンドにあがる榊原がどのようなピッチングを披露するのか。荒々しさを取り戻した若き右腕の成長した姿に期待したい。


取材・文=どら増田
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