山岡泰輔、山本由伸、榊原翼の3人が規定投球回に到達
プロ野球の世界において、チームを強化する手段は複数ある。そのなかでもっとも大きな柱となるのが、ドラフト会議による選手の獲得だろう。毎年10名前後の金の卵候補が、将来を担うべき存在としてチームに加入してくる。
そんなドラフトには、同一年度に指名した選手のなかから大きな実績を残す選手が生まれる年、つまり「当たり年」が存在する。当然、ドラフトの成果はすぐわかるものではなく、複数年を経てから判断するものである。その基準からいくと、オリックスの2016年ドラフトに当たり年となりそうな気配がある。
オリックスは、昨オフに西勇輝(現・阪神)と金子千尋(現・日本ハム/金子弌大)がそれぞれ退団。その穴を埋めるべく、セットアッパーとして起用されていた山本由伸を先発に配置転換した。実績豊富な西と金子の穴を埋める存在として、先発としては未知数である山本では難しいのでは、との声が多かったのも事実。また、セットアッパーが抜けることで、中継ぎ陣にも不安が残る陣容となったことが囁かれていた。
しかし、ここまでの戦いぶりを見ると、チーム防御率は3.82。リーグ4位ではあるが、決して悪い数字ではない。
防御率ランキングを見てみると、4位に山本(1.57)、5位に榊原翼(2.17)、8位に山岡泰輔(3.44)と3人が名を連ねるほどだ。ちなみに規定投球回に到達している投手が3人いるのは、パ・リーグでオリックス1チームのみである。
中継ぎ陣も、沢田圭佑の12ホールドはリーグ2位タイ。増井浩俊の13セーブはリーグトップとなっており、しっかりと結果を残している。(※成績は5月18日終了時点)
二軍では山崎颯一郎も奮闘中
ローテーションの軸となっている山本に榊原、そして山岡の3人。そして中継ぎの軸である沢田は、いずれも2016年のドラフトで指名された“同期”にあたる。プロ入り3年目にして先発ローテーションに3人、そして中継ぎの軸となる存在が輩出されているのは特筆すべきことだろう。
それだけではない。4月22日の一軍登録から6試合連続で無失点。7試合目の登板で初めて失点を喫した小林慶祐や、今季の登板こそないものの、昨季までの2年間で通算94試合に登板し、42ホールドをマークした黒木優太も同期となる。
また、陽岱鋼(巨人)の従兄弟ということで話題になった張奕も、5月2日に支配下登録されてすでに一軍へと昇格。1試合に登板した。その試合では、前の投手が残していた走者を還してしまったものの、後続を断って記録上は無失点。これからもチャンスは与えられそうだ。
その他にも、昨季ウエスタン・リーグで唯一投球回が100回を超えた山崎颯一郎がファームで奮闘中。高卒2年目にこれだけの登板機会を与えられているのは、期待が大きいからにほかならない。今季も6試合で2勝2敗、防御率3.79とまずまずの数字を残しており、順調に成長していると見ていいだろう。
まさに、2016年のドラフトは当たり年。指名された投手たちが、これからのチームを担う存在にもなりそうな気配である。今季3年目となる彼らが一定の数字を残し、チームの柱となることができれば、来シーズン以降含めしばらくは投手陣が安泰となる。なかでも山岡、山本、榊原の先発投手3人は魅力的だ。先発3本柱として、チームを支えていくかもしれない。
オリックス投手陣の未来を背負うことになりそうな2016年ドラフト組。今シーズン彼らはチームを上位へと導き、大きな飛躍を遂げることができるだろうか。その投球に注目していきたい。
オリックスの2016年ドラフト指名選手・今季成績
1位:山岡泰輔(東京ガス/投手)
8試(55.0回) 4勝0敗 防3.44
2位:黒木優太(立正大/投手)
※一軍出場なし
3位:岡崎大輔(花咲徳栄高/内野手)
※一軍出場なし
4位:山本由伸(都城高/投手)
7試(51.2回) 2勝2敗 防1.57
5位:小林慶祐(日本生命/投手)
8試(6.1回) 0勝1敗1H 防2.84
6位:山崎颯一郎(敦賀気比高/投手)
※一軍出場なし
7位:飯田大祐(Honda鈴鹿/捕手)
※一軍出場なし
8位:沢田圭佑(立教大/投手)
18試(16.2回) 2勝1敗11H 防5.40
9位:根本薫(霞ヶ浦高/投手→外野手)
※一軍出場なし
育1位:張奕(日本経済大/外野手→投手)※2019年5月2日支配下登録
1試(0.2回) 0勝0敗 防0.00
育2位:榊原翼(浦和学院高/投手)※2018年3月19日支配下登録
7試(45.2回) 2勝3敗 防2.17
育3位:神戸文也(立正大/投手)
※一軍出場なし
育4位:坂本一将(石川ミリオンスターズ/内野手)
※すでに退団
育5位:中道勝士(明治大/捕手)
※すでに退団