オリ熱コラム2019~第11回・秋季キャンプ~
オリックスが高知で行っていた野手の秋季キャンプで、西村徳文監督は若手選手のアピール不足について、「まだまだ足りないですよ。優しい選手が多い」と苦言を呈した。
その言葉を聞き、2016年に当時の瀬戸山隆三球団本部長にインタビューした際、「他球団にいたときから、選手がおとなしいイメージがあった」と話していたことを思い出した。
西村監督が就任した今シーズンは、チームスローガンに掲げた“アグレッシブ”を各選手が意識し、昨年とは明らかに違うチームに変貌。ベテラン、中堅選手の退団に伴い大幅な若返りを図ったが、昨年に比べて戦力が劣っていた感じは受けなかった。
チームは最下位という結果に終わったが、吉田正尚、山岡泰輔、山本由伸といった選手たちは活躍が認められ、世界一となった「プレミア12」の日本代表入りを果たした。特に21歳の山本由伸は、“勝利の方程式”の一角としてひと際存在感を示していたし、ディクソンや張奕も、それぞれの代表チームに選出され、大会ではベスト9に選出されている。
初の投打分離キャンプ
西村監督は第3クールに入ると大阪の舞洲に戻り、投手陣の秋季キャンプも視察。逆に高知では、舞洲で指揮をとると思われた高山郁夫ヘッドコーチの姿もあった。
森川秀樹球団本部長が「投手と野手を分けた狙いは、一軍と二軍の首脳陣が選手(の情報)を共有すること」と話したように、投手と野手、それぞれの一・二軍が同じ情報を共有することで、一二軍間の齟齬がなくなり、一軍でアクシデントが起こった際の昇格の判断や、昇格した選手のチームへの融合がスムーズにいくというメリットも生じる。
西村監督も「このキャンプの収穫は全選手を把握できたこと」と、分離キャンプに関する手ごたえを口にした。
その一方で指揮官の中には、「内野も外野もポジションは空いてるんだから、もっとアピールしないと」との思いもある。
高知ではゲーム性のある練習なども行われており、明るいムードもあったが、「アグレッシブにという意識づけはされたと思うので、これからは確実さが求められる。そこをしっかりやらなきゃいけない。もっと声を出してチャンスを掴みとって欲しい」と、西村監督の若手に対する評価は厳しい。しかし、個々の能力は高く評価しており、こうした苦言は歯痒さから来るものなのだろう。
「ウインターリーグで実戦を出来る選手はいいと思うけど、実戦がない選手はどんなオフを過ごすのか。1人でやる選手は自分との闘いですから。そして、どんな状態で2月を迎えるのかですね」
西村監督はチームの現状に苦言を呈しながらも、若手の成長は楽しみにしている様子。ちなみにキャンプ恒例となっている監督のサイン会は、高知だけではなく、舞洲でも開催するなど、指揮官もファンサービスに対してよりアグレッシブな姿勢を見せていた。
文=どら増田